84〜85年式
84年のミッレ・エンジンの登場を受けて、900S2もエンジンの変更を受け、ミッレS2となった。
ミッレMHRとミッレS2を比較すると、圧倒的にミッレMHRの人気の方が高く、これを示すように、カジバ社の買収に伴いミッレMHRはしばらく製造が継続されたが、ミッレS2は直ちに製造が中止されたため、ミッレS2の製造期間は短く(84年のみ)、僅かに171台のみ製造された。
これは間違いなく、ベベル・ツインで最も製造台数の少ないモデルの一つである。
なお、84年式の在庫は、85年まで販売が続けられたようである。
最終型ベベル・ツインは、純粋な「矛盾」であった。
エンジンは、多くの方法で750及び860ツインから大きく改良されたが、時代の流れからは取り残されていたようであった。
84年の製造品質は劇的に向上したが、ミッレの製造はカジバ社による買収と同時期であり、先行きの不安からか従業員の士気は低下し、これに伴い、85年に向けて品質は低下していった。
ミッレ・エンジンは、間違いなく全てのベベル・エンジンで最も信頼性が高いものであったが、更なる開発と、より強固なシャーシを必要としていた。
しかし、ベベル・ツイン・エンジンの製造コストの高さは、カジバ社による買収直後、これらの製造中止を決定させるには十分であった。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | ZDM1000S2 100001〜100202 |
| エンジン形式 | ZDM1000 100001〜100833 |
| ボア×ストローク | 88×80mm |
| 総排気量 | 973cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 83PS/7500rpm 90PS/7500rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 100/90V18 |
| 後輪 | 130/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1499mm |
| シート高 | 800mm |
| 全長 | 2220mm |
| 全幅 | 699mm |
| 重量 | 196kg |
| ギア比 |
一次 | 39/69 |
| 二次 | 15/41 |
| タンク容量 | 18L |
| キャブレター | デロルトPHM40BD/BS |
| 総製造台数 | 171 |
84〜85年式
・フレーム等
ミッレS2とミッレMHRのフレームはほとんど同じものであるが、フレーム番号は異なるシーケンスが使用されていた。
ミッレS2のフレーム形式は「ZDM1000S2」が指定され、フレーム番号は「100001」から開始されているが、フレーム・ホモロゲーション番号はミッレMHRと同じく「DGM 51429 OM」である。
2つのフレームの間にある唯一の違いは、ミッレS2のタンクは幅が狭いため、より優れたステアリング・ロック機構を持っていることである。
これは、ロア・トリプル・クランプ下のラグに、薄いストッパーが取り付けられ、それによってロックするものである。
ミッレS2の外装は、84年式900S2よりも83年式に近い。
カウル、タンク、シート及びサイド・カバーはブラックにペイントされ、イエロー、オレンジ及びレッドのストライプが入れられるとともに、タンク・デカールは再度オレンジに戻され、オレンジの「Mille S2」デカールが両サイド・カバー及びシートに貼られていた。
初期のミッレMHRと同様に、少数の初期のミッレS2のサイド・カバーには「Mille」の代わりに「1000」デカールが貼られている。
ミッレS2は、不評であった施錠可能なフラッシュ・マウントのタンク・キャップ及び、右側のバキューム式燃料タップを採用し続けた。
また、84年式900S2と同様に、エンジンの下にはアンダー・カウルが装着され、外装に合わせてブラックにペイントされるとともに、両側に「DESMO」デカールが貼られていた。
外装を取り付ける全てのスクリューはブラックである。
なお、ミッレMHRにはレッドのフロント・マッドガードがあったが、ミッレS2は900S2と同様にブラックのみである。
2つのモデルの走行器材類は同様であったが、ミッレS2には後期型のミッレMHRに採用された、レッドにペイントされたエア・キャップ付きのマルゾッキ製フォークのみが採用されている。
プロトタイプのミッレS2は、16インチのカンパニョーロ製フロント・ホイールを持っていたが、量産のミッレS2は同じくカンパニョーロ製の18インチ・ホイールであるとともに、ブレーキ、タイヤ及びマルゾッキ製リア・サスペンションは、ミッレMHRと同じものである。
また、ブレーキ及びクラッチ・レバーは、ブラックのドッグレグ・タイプであった。
・エンジン等
外観的には異なるが、ミッレMHR及びミッレS2は本質的に同じであり、ミッレS2は以前の900S2よりも、ミッレMHRと密接に関係している。
ミッレ・エンジンは、同じ番号シーケンスを共用し、エンジン番号「ZDM1000 100001」から開始されている。
しかし、ミッレS2はミッレMHRの数ヶ月後に製造を開始されたので、全てにオイル・ポンプの改良等の変更が行われている。
エンジンはミッレMHRと全く同じものであるため、従って、同じ製造品質と「役不足」のエレクトリック・スタート・モーターを持っている。
また、ミッレMHRと同様に、エア・クリーナー付きのデロルト製PHM40キャブレター及びサイレンチウム製マフラーが装着されている。
サイレンサー・ホモロゲーション番号も、ミッレMHRと同じく「E3 9R−0040605」及び「E3 9R−0440604」である。
サイレンサー・ホモロゲーション・プレートも同様に、右側サイド・カバーの下に取り付けられていた。
・電装等
ミッレS2は900S2から発展しているが、インストルメント・パネル、キャレロ製ヘッドライト、ベルリッキ製クリップ・オン・ハンドル及び油圧式クラッチとマスター・シリンダーは、ミッレMHRと共用されている。
大きなCEV製のテールライト及びターン・インジケータは、84年式900S2と同じであり、フロント・ターン・インジケータはフラッシュ・マウントではない仕様である。
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