共通仕様/71年式/72年式/73年式/74〜75年式/フラッシャ
現在まで脈々と続くドゥカティのエンジン・レイアウト「90度Vツイン」、その形状がL字に見えるところから「Lツイン」と呼ばれるエンジンを搭載した、記念すべき最初のドゥカティとして、1970年のミラノ・ショウで発表され、翌71年に販売が開始されたのが750GTである。
極初期のモデルは、ドゥカティ初の量産2気筒ということで、トラブル対処がスムーズに行われることを見込んで欧州を中心としたセールスであり、生産台数も極めて少ない。
750GTはドゥカティの主力モデルとして、主体を米国市場に移して製造が続けられたが、1974年9月の米国DOTレギュレーション(全てのモーター・サイクルに「左側ギア・シフト」を要求)を受け、ドゥカティ社は「左側ギア・シフト化のコストが膨大である」として、ラウンド・ケース・エンジンの製造中止を決定した。
これに伴い、750GTは翌75年まで製造された後、生産中止となり、後継機種である860GT(E)にバトン・タッチすることとなった。
なお、ラウンド・ケース・エンジン用のスペア・パーツは、その後も数年間製造が続けられた。
あるデータによると、73年式以降の750GTの製造台数はキック・モデル×2947台、セル・モデル×530台及びポリス仕様×55台の、計3532台とされており、71年式の約500台、72年式の約1000台を加えると、総製造台数は5000台程度であると推測される。
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共通仕様
・フレーム等
750GTのフレーム形式は「DM750S」、フレーム番号は「750001」からシーケンスが開始されており、最終的にはフレーム番号「757000付近」まで製造されている(なお、フレーム形式及び番号は、750Sと連番である)。
フレームのホモロゲーション番号は「DGM 9595 OM」が指定され、フレーム番号とともにステアリング・ヘッドに刻印されている。
ただし、米国仕様の750GTでは同じ位置に、エンジン番号のみが記載されているスペシフィケーション・タグが取り付けられている。
また、サイド・スタンドは米国仕様のみに装着され、欧州仕様はセンター・スタンドのみである。
フレームの形状については、750GTの製造を通して、リア・サスペンションの上部をフレームの内側で支持する所謂「ワイド・フレーム」が採用されている(シート・レールの幅が、ナロー・フレームに比べてやや広い)。
スイング・アームはシーリー・タイプのチェーン・アジャスターの付いた仕様であるが、これは71年の500GPレーサーと同じものである。
このスイング・アームには整備性向上のため、スイング・アーム右側にグリス・ニップルが設けられていたが通常使用されるサイズではなく、またチェーン・サイドに位置しているため使い勝手が悪く、不評であった。
リア・サスペンションは、上部にアルミ製のカバーが取り付けられた305mmのマルゾッキ製であり、カバーにはマルゾッキ・デカール(レッド及びイエローでデザインされている)が貼られていた。
フロント・ブレーキは、一体成形の鋳鉄ディスクが左側のみに付けられたシングル・ディスクであり、リア・ブレーキは200mmのドラムである。
・エンジン等
750GTのエンジン形式は「DM750」、エンジン番号は「750001」からシーケンスが開始されており、フレームと同じくエンジン番号「757000付近」まで製造されている(エンジンについても750Sと連番である)。
エンジン形式はクランク・ケース右側上部、エンジン番号はクランク・ケース左側上部に刻印されている。
全てのベベル系エンジンは、製造過程の都合上、クランク・ケース下部に2つの穴が開いているが、この穴は通常、アレン・ボルトで塞がれ、ワイアリングにより封印されている。
また、ラウンド・ケース・エンジンのクラッチは湿式であり、クラッチ・プレート及びフリクション・プレートは各8枚ずつで構成される。
クランク・ケース・ブリーザーはアルミ製で、750GTは、ここからブラックのプラスチック・チューブ製のブリーザー・パイプがリアのエア・フィルター・ボックスに導かれている。
エア・フィルターは乾式の紙製であり、各キャブレターからフレキシブル・ホースを介して、それぞれの気筒毎に準備されたプラスチック製のエア・フィルター・ボックスの中に納められた。
シリンダーには「A」または「B」の「ピストン及びシリンダーのサイズ」を示す刻印があり、クラッチ・カバーに、使用されているピストン及びシリンダーのサイズ(AまたはB)が示されている。
またベベル系エンジンのシリンダー・ヘッドにはガスケットが使用されてなく、Oリングのみである。
クランク・シャフトはプレスの一体成形であり、クランク・ピンは36mmである。
ビッグ・エンド・ベアリングはケージ型で分割式のものであり、スモール・エンドは22mmのブロンズ・ブッシュであった。
ピストンはボルゴ製のフラット・トップ・タイプのフル・スカート仕様(圧縮比は8.5:1)であり、3本のピストン・リングが組み合わされている。
コンロッドの長さは150mmであり、コンロッド長に対するストロークの比は約2:1となっている。
なお、750GTのキック・スタート・レバーのペダルには、ラバーが付けられていない。
・電装等
ラウンド・ケース・エンジンのオルタネータは単相3線式150Wのものであり、レギュレータは機械式であった。
イグニッション・システムは、ポイント点火であり、シリンダー間にポイント・ハウジングが設けられている。
なお、静的進角は10度、最大進角は38度で固定されている。
ポイント・コンデンサは、0.28μFである。
また、イグニッション・コイルはドゥカティ・エレクトロニカ製のものであり、ステアリング・ヘッド下部に装着され、プラグ・キャップは黒ゴムのKLG製であった。
ヒューズ・ボックスはアプリリア製の4本ヒューズ仕様のものであり、シート下に取り付けられていた。
このヒューズ・ボックスには、ボッシュ製ヒューズが使用されている。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750S 750001〜750500付近 |
| エンジン形式 | DM750 750001〜750500付近 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 8.5:1 |
| 最大出力 | 60PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.25H19 |
| 後輪 | 3.50H18 |
| ブレーキ |
フロント | 276mmディスク |
| リア | 200mmドラム |
| ホイールベース | 1529mm |
| シート高 | 不明 |
| 全長 | 2250mm |
| 全幅 | 711mm |
| 重量 | 185kg |
| ギア比 |
一次 | 29/71 |
| 二次 | 16/36 |
| タンク容量 | 17L |
| キャブレター | アマル930/76/77−R/L |
| 総製造台数 | 約500 |
71年式
・フレーム等
この年式のフレーム番号は「750001」〜「750500付近」までである。
71年式は米国仕様が製造されていないため、フレームの左側ダウン・チューブにサイド・スタンドを装着するためのラグが設けられておらず、サイド・スタンドを「後付」で装着することができない。
71年式初期のフレームはシルバーにペイントされていたが、同年後期以降、ブラック・ペイントに変更されている。
フロント・フォークはマルゾッキ製のリーディング・アクスル・タイプであり、これは750GT用に開発されたものである(アウター・チューブに「DUCATI」のレタリングが鋳込まれていた)。
アウター・チューブ及びトリプル・クランプがアルミのポリッシュ仕様であり、更にこの年式初期には左側アウター・チューブ下部に「Super Hydraulic Marzocchi Racing」のデカールが貼られていたが、同年後期以降、通常のマルゾッキ・デカールとなった。
また、リア・サスペンションのカバーはポリッシュ仕様である。
ホイールはアルミのボラーニ製のものが採用されており、サイズはフロントが2/1.85−19/40、リアが3/2.15−18/40であり、スポークはメッキではなくシルバーにペイントされたものであった。
この年式のフロント・ホイールのハブは「合わせ」のツーピース仕様であり、ポリッシュ仕様であったほか、ステンレス・スチール製のマッド・ガード及びチェーン・ガードが取り付けられている。
フロント・ディスクは内側がシルバーにペイントされており、ディスクの直径はオーナーズ・マニュアル等には280mmと記載されていたが、この年式のディスクは276mmであった(なお、イタリアの広告等には275mmと記載されているものも見受けられる)。
ブレーキ・キャリパーはロッキード製CP2195、マスター・シリンダーはCP2215が採用されている。
リア・ブレーキの基本仕様は350mmのトルク・アームを介したシングル・リーディング・ブレーキであったが、71年式初期には、400mmのロング・トルク・アームを介したツイン・リーディング・ブレーキが採用されていた(パーツ・リスト未掲載)。
71年式750GTのタンクはグリーン、オレンジ、レッド及びブルーの特徴的なメタル・フレーク塗装のグラス・ファイバー製タンクが採用されるとともに、この年式初期では、以降のものに比べて「パディングの多い、やや高さのある」シートが採用されている。
また、燃料ホースについてはグリーンではなく透明のプラスチック・ホースであった。
ハンドルは欧州仕様の「低い」ものであり、ハンドル・グリップは英国車に見られる「堅いプラスチック・タイプ」が採用され(ハンドル・グリップはパーツ・リスト未掲載)、ブレーキ及びクラッチ・レバーは、後のタイプより湾曲の強いものであった。
またトップ・ブリッジ上に、50〜60年代のシングルに採用された、フリクション式ステアリング・ダンパーが装着されている。
71年初期に製造された750GTには、350または450マーク3用のタンデム・ステップが装着されていたが、同年式後期以降、750GT専用品が採用された。
・エンジン等
71年式のエンジンは、エンジン番号「750500付近」まで製造されている。
この年式のエンジンの特徴は、クランク・ケースが「砂型鋳造」されていることである。
特に、エンジン番号「750404」までのエンジンは、クランク・シャフト下部(ドレン・ボルト上部)に貫通ボルトが使用され、クランク・ケースの左右にボルトの頭が出ている(これ以降のエンジンは、左右どちらかにしかボルトの頭は出ない)。
なお、この404台のエンジンは、後に製造されるエンジンと比較して強度の高いものとなっており(内部の補強が異なる)、このため、72年のイモラ200マイル・レースにおけるF750レーサーは、このエンジンを使用している。
この砂型エンジンのうち、極初期のエンジン(おそらく100台以下)は左側クランク・ケース・カバーにクラッチ点検用のクラッチ・インスペクション・プレートがなく、一体仕様となっている。
このエンジンのカム・シャフト・ベベル・ギアにはタイミング・マークが刻印されていなかったが、後に製造されたギアには刻印されるようになった。
これらのエンジンのロア・ベベル・ギアには、後のタイプのものより上部がテーパー状でリセスが深く、また軽量な仕様となっている鋳造の「チューリップ型」のものが採用されているが、製造コストが合わなかったため変更されたようである。
なお、ギア・セットのパーツ番号は両タイプとも同一である。
そのほか、バルブ・ガイド、バルブ・ガイド・シール及びバルブ・スプリング・リテナーが後のエンジンとは異なり(ただし、後期型のパーツとは互換性がある)、またシリンダー・ヘッド上のカム・シャフト・ハウジングのドウェルが小径のものとなっている。
一次減速比は29/71(2.448)であり、クラッチ・ハウジングには25×47×12mm及び25×52×15mmの2つのベアリングが使用されている。
キャブレターは英国のアマル製のものが採用され、ハンドル左側にチョークが取り付けられている。
この年式に採用されているサイレンサーは、コンチ製の所謂「丸コンチ」である。
このサイレンサー・ホモロゲーション番号は「DM750S E3 9R−9596」であり、プレートは右側の2つのエンジン・マウント・ボルトの間に取り付けられていた。
なお、このサイレンサーは、後のものとエキゾースト出口の形状が異なる(テーパー状に絞り込まれている)が、パーツ番号は同一である。
・電装等
750GTは、ドゥカティ初の12V仕様のモデルであるが、ハーネス等の基本構成は6Vのシングルから大きな変更は行われていない。
なお、バッテリーは信頼性の高いユアサ製の12H12A−4Aが搭載されている。
ドゥカティ・エレクトロニカ製のエレクトリック・イグニッションは、あまり信頼性が高くなかったため、この年式の750GTの左側クランク・ケースには、この点検・交換を容易に実施するため、30×1.5Mのプラグ・ホールが設けられている。
この年式のハイテンション・コードは赤いプラスチック・コーティングが施されたものであった。
また、イグニッション・キーはフレームの左側、タンクとシートの間に位置しており、キー・ポジションはオン・オフの2ポジションのみである。
極初期の750GT(おそらく100台以下)には、初期型のスミス製メーター(スピード・メーターは、数字の間の「刻み」がなく、タコ・メーターは「12000rpm」まで刻まれている仕様である)が採用されていた(パーツリスト未掲載)が、この年式後期以降は通常のスミス製メーター(スピード・メーターに「刻み」があり、タコ・メーターは10000rpmまでの仕様)となった。
ヘッド・ライトはナイロン・ブッシュを介してクロム・メッキされたワイヤーで固定されており、テール・ライト・ハウジングはブラック・メタル・タイプであるが、この年式では後の米国仕様とは異なり、小径のCEV製ラウンド・タイプのテール・ライトが取り付けられていた。
ヘッド・ライトはアプリリア製の170mm径のものである。ライト・バルブには45/40Wハロゲン球が使われていた。
この年式のGTには、ターン・シグナルが装着されていないが、フロント・ブレーキのマスター・シリンダー上にターン・スイッチが取り付けられているほか、フラッシャー・ユニットもヘッド・ライト・シェル内に装着されていた(従って「後付」が可能である)。
また、フロント・ブレーキにはブレーキ・ランプ・スイッチが装着されてなく、ブレーキ・ランプはリア・ブレーキのケーブルに取り付けられたスイッチで点灯していた。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750S 750500付近〜751500付近 |
| エンジン形式 | DM750 750500付近〜751500付近 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 8.5:1 |
| 最大出力 | 60PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.25H19 |
| 後輪 | 3.50H18 |
| ブレーキ |
フロント | 276mmディスク |
| リア | 200mmドラム |
| ホイールベース | 1529mm |
| シート高 | 779mm |
| 全長 | 2250mm |
| 全幅 | 711mm |
| 重量 | 185kg |
| ギア比 |
一次 | 29/71 |
| 二次 | 16/36 |
| タンク容量 | 17L |
| キャブレター | アマル930/76/77−R/L |
| 総製造台数 | 約1000 |
72年式
・フレーム等
72年式750GTのフレームは、フレーム番号「750500付近」〜「751500付近」である。
この年式では、それまでの「欧州仕様」に加えて「米国仕様」の製造が開始されている。
これらの仕様の主な違いは「ライディング・ポジション」であった。
米国仕様は欧州仕様に比べて、ハンドルが高く且つ広いものとなっており、それに伴いブレーキ・ホース、クラッチ、スロットル及びチョークの各ケーブルが長いものに変更されており、ハンドル・グリップはラバーのベルリッキ製のものが取り付けられていた。
また、米国のレギュレーションに従い、左右のヘッド・ライト・ブラケット及びリア・サスペンションの上部に合計4枚の反射板が装着されるとともに、アプリリア製のターン・インジケータが装着されている。
この年式から左側ダウン・チューブにサイド・スタンドを装着するためのラグが設けられたが、サイド・スタンドが取り付けられたのは、米国仕様のみである。
ファイバー・グラス製のタンクは前年式と同じであるが、この年式ではカラーリングが変更された。
レッドまたはブラックのソリッド・カラーでペイントされるとともに、「DUCATI」ロゴの下にストライプが入ったデカールが貼られている。
このデカールのストライプはブラック・タンクは白、レッド・タンクは黒となっていた。
また、燃料ホースはこの年式からグリーンのプラスチック製のものに変更された。
シートはこの年式から、通常のビニール・カバー製で、両サイドにアルミ製のモールドがあり、後部にホワイトで「DUCATI」レタリングが入れられたものとなった。
・エンジン等
この年式のエンジンは、エンジン番号「750500」付近から「751500」付近まで製造されている。
このエンジン番号「750500」付近は、これまで試作車的な要素が強かった750GTが量産体制に移行したという一つの目安となる。
71年式のエンジンにおいて、キック・スタート・レバーが戻る際、オルタネータ・カバーにヒットするというトラブルがあったため、この年式初期には、キック・スタート・シャフトを支持しているオルタネータ・カバー上のボスが短くなっている。
エンジン番号「751500」以降は、キック・スタート・シャフトの長さが延長され(300mm→315mm)、レバーのカーブもきついものとなるとともに、キック・スタート・レバーの位置も変更されている。
これに伴い、強度の高いボスが採用されるとともに、ベアリングのサーフェース・エリアを確保するため、オルタネータ・カバーの形状が変更されている。
これと同じ時期、シリンダー・ヘッド上のカム・シャフト・サポート・リテニング・ドウェルが5×11mmに拡大された。
なお、この年式以降のロア・カム・シャフト・ベベル・ギアはチューリップ型の鋳造ではなく、機械加工のものである。
この年式では、まだ前年式同様の初期型コンチ・マフラーが使用されている。
・電装等
米国仕様の750GTには、シールド・ビームのCEV製ヘッド・ライト及び同じくCEV製のスクエア・タイプのテール・ランプが採用されている。
また、米国仕様にはパーキング・ランプがなく、ヘッドライトの保持方法も8本のスプリング・クリップを使用するタイプに変更されている。
欧州仕様はハンドルが低く、またエンジン番号「750501」からはCEV製の小径ラウンド・タイプのテール・ライトが、ブラックにペイントされたメタル・ブラケットに取り付けられている。
メーターはスミス製のものであるが、米国仕様はスピード・メーターが150mphフル・スケール(マイル表記)、欧州仕様は250km/hフル・スケール(メトリック表記)である。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750S 751800付近〜754000付近 |
| エンジン形式 | DM750 751800付近〜754000付近 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 8.5:1 |
| 最大出力 | 60PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.25H19 |
| 後輪 | 3.50H18 |
| ブレーキ |
フロント | 276mmディスク |
| リア | 200mmドラム |
| ホイールベース | 1529mm |
| シート高 | 779mm |
| 全長 | 2250mm |
| 全幅 | 711mm |
| 重量 | 185kg |
| ギア比 |
一次 | 29/71 |
| 二次 | 16/36 |
| タンク容量 | 17L |
| キャブレター | デロルトPHF30AD/AS |
| 総製造台数 | 約2200 |
73年式
・フレーム等
この年式では、前年に製造開始された750Sとの部品共用化が図られている。
750Sにはブラック・ペイントされたリーディング・アクスルのマルゾッキ製フォークが採用されていたが、この年式の欧州仕様の750GTには、これと同じものが採用されている。
このフォークは、独特のリンクル・フィニッシュが施されていた。
なお、米国仕様のフロント・フォークは前年式同様のポリッシュ仕様である。
73年4月のイモラ・レーサーがスカラブ製ブレーキを採用していたことを受けて、エンジン番号「751800付近」から、これまでのロッキード製に代わりスカラブ製ブレーキが採用された。
スカラブはイタリアにおけるロッキードのコピーであるが、ブリーディングの簡便性に欠け、またマスター・シリンダーのシールが弱く、よくブレーキ・フルード漏れを起こした。
多くの750GTにスカラブ製のフロント・ブレーキが採用されたが、キャリパーには「SCARAB」または「DUCATI」のエンボス加工が施されていた(「SCARAB」の方が多い)。
マスター・シリンダーはシングル・ディスク仕様であり、ピストン径は13.5mmであった。
欧州仕様のフロント・ブレーキにはプレッシャ・スイッチが取り付けられていないが、米国仕様はロア・トリプル・クランプにジャンクションが設けられ、そこにラバー・ブーツでカバーされたプレッシャ・スイッチが取り付けられている。
なお、スカラブ製のブレーキ・レバーは、クラッチ・レバーとは形状が異なっている。
英国等のいくつかの国ではファイバー・グラス製タンクが禁止されていたため、エンジン番号「753000」付近から、ファイバー・グラス製タンクに代わり、スチール製タンクが採用されているとともに、これに合わせてサイド・カバーもラバー・グロメットによる差込式スクリューで固定するタイプのものに変更された。
このタンクには「レッド/ブラック」または「ブロンズ/ブラック」の新しいカラーが施され、ブラックの幅広のストライプがタンク及びサイド・カバーの中央を通り、縁にゴールドの細いラインが入るようになった。
また、サイド・カバーのバッジ(750)には、小さな「GT」というデカールが付いていた。
エンジン番号「754000付近」では、これに併せてステンレス・スチール製のガードが、タンクと同色にペイントされたスチール製のものに変更され、中央にブラックのライン(縁はゴールド)が入れられた。
シートはスクリューではなく、ブラックのノブで固定されるようになった。
・エンジン等
この年式では、最初のエンジン仕様の変更が行われている。
73年9月頃から、アマル製のキャブレターに代わり、デロルト製のものが採用されており、これに伴い新しいインレット・マニホールドが採用された。
スロットルも変更され、750Sと同じトマゼリ製の「デイトナ2−C」が採用されている。なお、このスロットルはスロットル・ストップ・スクリューが、スロットル・ボディの上部に付いている。
キック・スタート・レバーの形状には変更はないが、レバーが戻るメカニズムが改良されている。
また、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートは、エンジン上面に移された。
ハイテンション・コードはグリーンのプラスチック・コートのものに変更されている。
この年式で、初めてエレクトリック・スタートの750GTが製造されたが、全体で530台しか製造されていない。
このエレクトリック・スタート・システムは、マレリ製の大きく、重いものであり、チェーンのみでエンジン内のスターター・クラッチを動かす仕組みになっていた。
エレクトリック・スタートの採用に伴い、ユアサ製の大きなバッテリー(B68−12V32Ah)が採用され、これ以降の750GTのフレームはバッテリーの搭載位置が変更されている。
これに伴い、リア・シリンダーのエア・フィルターは、フレキシブル・ホースを介さず、またブリーザー・ホースは350mmに延長された。
・電装等
750Sにベリア製のメーターが採用されたことから、この年式の欧州仕様には240km/hフル・スケールのベリア製スピード・メーター(トリップ・メーターのリセット・ノブが付いている)及び10000rpmフル・スケールの電気式タコ・メーターが採用された(8000rpmからレッド・ラインが表示されている)。
電気式タコ・メーターは、インストルメント・パネル内部のスチール製プレートに直接取り付けられている。
このタコ・メーターはケーブルが不要であるため、フロント・バンクのカム・シャフト・ベベル・ギア・カバーが、リア・バンクと同じものになっている。
なお、米国仕様のスピード・メーターは、前年式と同じくスミス製が採用されており、ケーブルが必要であるため、カム・シャフト・ベベル・ギア・カバーも前年式と同じである。
CEV製のシングル・ホーンは、この年式後期にベッリ製のダブル・ホーンに変更された。
また、シルバーのプラスチック製ライト・スイッチに代わり、ブラックのものが採用されている(パーツ番号は同じである)。
この年式以降、全ての750GTにターン・インジケータが装着された。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750S 754500付近〜757000付近 |
| エンジン形式 | DM750 754500付近〜757000付近 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 8.5:1 |
| 最大出力 | 60PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.25H19 |
| 後輪 | 3.50H18 |
| ブレーキ |
フロント | セリアーニ製フォーク:280mmディスク マルゾッキ製フォーク:278mmディスク |
| リア | 200mmドラム |
| ホイールベース | セリアーニ製フォーク:不明 マルゾッキ製フォーク:1529mm |
| シート高 | 779mm |
| 全長 | 2250mm |
| 全幅 | 711mm |
| 重量 | 185kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 16/36 |
| タンク容量 | 17L |
| キャブレター | デロルトPHF30AD/AS |
| 総製造台数 | 約1500 |
74〜75年式
・フレーム等
この年式でも米国及び欧州仕様の両方が製造されているが、違いはハンドルバー、ヘッドライト及びテール・ランプ、リフレクター並びにスピードメーターのみである。
74年には860GTの製造が開始されており、これに採用されたパーツのいくつかが750GTにも採用されているが、その多くは750GT用の公式パーツ・マニュアルには掲載されていない。
エンジン番号「754000付近(74年初期)」以降、フロントフォークはリーディング・アクスルのマルゾッキ製のものから、860GTと同じ38mmセリアーニ製のものに変更されている。
ただし、フォーク・チューブは860GTより短く(580mm)、これに応じてスプリングも短い(495mm)が、ダンピング・ロッドは長かった(241mm)。
マルゾッキ製フロント・フォークと異なり、セリアーニ製のものは右側のフォーク・レグに黒い「Ceriani」デカールが貼られるとともに、2本のアクセル・クランプ・ボルトが使用されている。
セリアーニ製のアウター・チューブは、ポリッシュされたアルミ製であったが、トリプル・クランプは黒く塗装されていた。
このトリプル・クランプは、リーディング・アクスルのものと同じであったため、ホイール・ベースはやや短くなるとともに、フロント・マッドガードがやや後方に移動し、取り付け方法も異なっている(マッドガードに互換性はない)。
これに伴い、セリアーニ製フロント・フォークを採用した750GTはトレイルが大きくなり、操縦性がややフロント・ヘビーとなっている。
リア・ショックに関しては、前年式と変更はなく、ポリッシュされたカバーが取り付けられている。
セリアーニ製フォークの採用に伴い、新しくブレンボ製マスター・シリンダー及びキャリパー(P2F08N)が採用されており、このブレーキ・ラインは、メタル・チューブを介したワンピースのラバー製チューブである。
また、ラバー製のカバーで覆われたブレーキ・プレッシャー・スイッチが、マスター・シリンダーに取り付けられた。
ブレーキ・ディスクは4mm拡大された280mmの鋳鉄製であり、6本のボルトで固定されている。
このディスクのインナーは、前年式と異なりブラックでペイントされている。
その他、セリアーニ製フォークでは、前年式までと異なるフリクション式ダンパーを使用するとともに、ヘッド・ライト・サポートが、これまでのクロム・メッキされたワイヤー状のものではなく、ブラックにペイントされたスチール製のものとなっている。
セリアーニ製フォークは、750Sの製造拡大に伴い、すぐにマルゾッキ製フォークに戻されたが、このフォークはリーディング・アクスル方式ではなく、セントラル・アクスル方式である。
新しいマルゾッキ製フォークは、キャリパー・サポートが後方に移され、スカラブ製キャリパーがフォーク後方に取り付けられるとともに、ブレーキ・ディスクはセリアーニ製フォークに採用されたものと同じ仕様であるが、やや径が小さくなっている(パーツ・リストでは278mm)。
アウター・チューブはブラック・ペイント及びポリッシュの両方の仕様があり、リア・サスペンションのカバーは、それに応じて各々同じ仕様のものが取り付けられている。
セントラル・アクスル方式のマルゾッキ製フォークの採用に伴う、最も重要な変更点は、トリプル・クランプである。
このトリプル・クランプは、セリアーニ製フォーク用のものと異なり、リーディング・アクスル方式と同じトレール量となるようにオフセットされたものであり、ポリッシュ仕様となっている。
ヘッド・ライト・サポートは、セリアーニ製フォークに採用されたものと同じであった。
また、マルゾッキ製フォークには、リム幅が2.15インチ(WM3)とされた、ラダエッリ製のクロム・メッキ仕様のスチール製リムが採用されている。
なお、リアのサイズには変更はない。
750GTの最終型(エンジン番号「756000」付近以降)のマルゾッキ製フォークは、キャリパー・サポートが再度フォーク前方に移され、ブレンボ製キャリパーが取り付けられている。
これらのフォークは全てブラックにペイントされ、ほとんどが米国仕様であった。
ブレンボ製キャリパーには280mmのディスクが採用されたが、キャリパー自体はセリアーニ製に取り付けられたものとはピッチ等が異なり、互換性がない(パーツ番号も異なる)。
・エンジン等
この年にはデスモ・ドローミックの750SSが製造されているが、これに併せて新しいエンジン・パーツが多く採用されている。
74年初期には、エンジンの一次減速比は750SSと同じ(32/70)にされた。
これによりクラッチ内のベアリング・サイズが変更され、2つの25×47×12mmのベアリングが採用されるとともに、クラッチ・ハウジングには25.5×36×2.7mmのスペーサーが取り付けられている。
クラッチ・カバーも、カバー内部のウェブリングが多い750SSのものが採用された(パーツ・リスト未掲載)。
エア・フィルター・ボックスも変更され、それまで前後バンクとも同じボックスであったものが、フロント・バンクに前年式と異なるタイプが採用されるとともに、リア・バンクのカバーはブリーザー・アタッチメントの変更を受けている。
また、これに伴いブリーザー・パイプ長が560mmに延長された。
エンジン番号「755500付近」から、エンジン内部のパーツのいくつかに、同時期に製造が開始された860GTのものが採用されている。
シリンダー・ヘッド内では、バルブ及びロッカーがスクリュー・アジャスト方式のものに変更されるとともに、新しいバルブ・シートが採用されている。
これにより、ロッカー・カバー内のクリアランスを増大させるため、高さのあるロッカー・カバーが採用されたが、これ以降の全てのベベル(デスモ、スプリングを問わず)は、このロッカー・カバーを採用している。
これとほぼ同時期、カム・シャフトも変更を受けた。
バルブ・タイミングは前年式までと同様であるが、カム・プロファイルが最大出力の向上を意図したものとなっている。
また、これまで採用されていたコンチ製マフラーは、世界中の各種騒音規制をパスすることが困難となったため、860GTと同じラフランコーニ製マフラーが採用された。
このマフラーは出力の低下を招いたが、新しく採用されたカム・シャフトによって相殺され、出力は前年式までと同じとされた。
なお、最終仕様の750GTのスロットルは、タンク下に2in1ジャンクション・ボックスを持つシングル・ワイヤーである。
・電装等
エンジン番号「754500〜755500付近」までは、前年式までと同様のハーネス及びスイッチ類を採用していたが、860GTと同時期に製造された最終仕様の750GTには、860GTと同じハーネス及びスイッチ類が採用されている(パーツ・リスト未掲載)。
このハーネスは、マルチ・プラグ・コネクタで結線されている。
860GT用のイグニッション・ボディは、750GTの定位置(タンクとシートの間)に取り付けるには大きすぎたため、ブラックにペイントされたスチール製ブラケットを介してタンク左側下に装着された。
インストルメント・パネルも、5つのインジケータ・ランプを持つ、860GTと同じもの(860GT用のものは、ワーニング・ライトの周りにホワイトのラインが引かれていることのみ異なる)が取り付けられるとともに、初期型の860GTと同じく、スミス製のメータが採用されている。
ホーンは、前年式のCEV製ではなく、2レベル(タウン/カントリー)のボリュームを持つベッリ製の「90タイプB」シングル・ホーンが採用されている。
右側スイッチ・ボックスには、ターン・シグナル・スイッチ及びエンジン・キル・スイッチが、左側スイッチ・ボックスにはライト・スイッチ、ハイ/ロー・ビーム・スイッチ、ヘッド・ランプ・フラッシャー及びホーン・スイッチが設けられ、全てのエレクトリック・ケーブルはハンドル・バーの内部を通して、表面からケーブルが見えない仕様となっている。
エレクトリック・スタート・モデルのスタート・ボタンは右側スイッチ・ボックスに設けられたが、このスイッチは焼損しやすい傾向があったため、後のエレクトリック・スタート・モデルである860GTEではスイッチの改良を受けている。
最終型750GTには、750SSに使用されたブラックのプラグ・コードが採用されているが、プラグ・キャップは前年式までと同じKLG製のものであった。
この年式の750GTはまた、右側のセレクタ・カバー内にニュートラル・ランプ・スイッチが設けられている。
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フラッシャ
オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州のドゥカティ販売代理店「フラッシャ」は、1978年にドゥカティ社に対して41台の750GTを特別注文した。
これらの750GTには、74年の最終型エンジン(エンジン番号「757000付近」)が使用されるとともに、900GTS、900SS及び900SDダーマのパーツが多く流用されている。
フロント・フォークは、ブレンボ製シングル・ディスクを持つセリアーニ製であり、インジケータ、スイッチ・ボックス及びハンドル・グリップは900SDダーマまたは900SSのものが流用されていた。
また、エア・クリーナー・ホースは後の堅いプラスチック製のものであり、シート後部にはホワイトでジウジアーロ・ロゴの「DUCATI」レタリングが入れられている。
このモデルは特別注文であったため、スペア・パーツ等も準備されていなかったが、瞬く間に完売したという。
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