共通仕様/75年式/76〜78年式/79年式
1974年初頭、750GTに代わり、米国の規定を受けて「拡販モデル」と位置付けられた860GTが発売されるとともに、750S及びシングル・モデルの製造中止が決定され、前年に発表された限定モデルである750SS(ラウンドケース)を除いて、ドゥカティ社のラインナップからスポーツ・モデルが姿を消し、世界中のドカティストを落胆させた。
しかし、860GTの失敗が明白となり、スポーツ・モデルの必要性を痛感したドゥカティ社は、75年に新しい750SS及び900SSの発売を開始した。
これらのモデルは、新しいSSの計画を示していた73〜75年の860SSとは異なり、860GTと同じスクエア・ケース・エンジンを搭載していたが、スタイリング等を含めたその他の部分は74年式750SSとほぼ同様であるとともに、「スーパー・スポーツ」の名が示すとおり、デスモドローミックが採用されていた。
750SSは、主としてイタリアのフォーミュラ750選手権向けに製造され、900SSが年を追うごとに「市販モデル」としての意味合いを強めていく中、終始「限定モデル」として存在し続けた。
750SSの総製造台数は、74年式750SSから数えてちょうど1000台であり、スクエア・ケース(75年〜79年)では僅かに599台が製造されたのみである。
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共通仕様
・フレーム等
750SSのフレーム番号は、74年式750SSから連番であり、フレーム・ホモロゲーション番号も同じく「DGM 11871 OM」が使用されている。
75年式900SSも、当初は極少数の製造しか意図しておらず、また、前年の750SSのフレーム・ホモロゲーションを使用する方が容易だったため、同じフレーム番号シーケンス並びにホモロゲーション番号を使用しているので、750SSのエンジン番号及びフレーム番号の間には、250番程度の開きがある。
750SSのフレームは、ステアリング・ヘッドに取り付けられたフェアリング・サポートも含んで、フレームはシルバーにペイントされていた(74年式750SSのサポートはブラックである)。
全ての年式を通じて750SSの外装のペイントはシルバー/ブルーであり、同じくシルバー/ブルーの900SSと異なり、ハーフ・カウルはシルバーをベースに、ブルーのライン・デカールが入れられている。
これらのペイントは通常のアクリル・ラッカーであり、デカールの上にクリア・コートは施されていなかった。
シングル・シート及びサイド・カバーは、同じサイズのスクリューで固定され、両方ともプラスチック製のビードを持っているが、シートの開閉用ジッパーは、左から右に動かして開くようになっている(74年式750SSとは逆)。
なお、79年式を除く全ての750SSは、後年式の900SSと異なり、シングル・シートが標準である。
フロント・カウルは、タンク下にあるクロムメッキされたブラケット及びフロントの4本のマイナス・スクリューで固定されている。
ボラーニ製40スポーク・ホイールは、74年式750SSと同様であるが、サスペンション及びブレーキは新しいものが採用されている。
ブラックにペイントされた38mmマルゾッキ製フロント・フォークは、フォーク前方にブレンボ製ブレーキ・キャリパーをマウントするためのサポートを持っているが、これはブレンボ製ブレーキを採用していた74年式750GTと同じであり、左側フォーク・レグ下部には通常のレッド/イエローの「Marzocchi」デカールが貼られていた。
フォーク・オイル・ドレイン・プラグは、M6×7mmに変更されたが、プラグの位置はフォーク・レグ後方のままである。
74年式750SSと異なり、これらのフォーク・レグには、4本のボルトでフロント・マッドガードが取り付けられている。
フォーク・チューブの長さは580mmであり、フラットなトリプル・クランプが使用されているほか、ブラックのプラスチック製ノブで調整されるフリクション・ステアリング・ダンパーがステアリング・ヘッドに装着されていた。
また、フォーク・シール・カバー上のクロムメッキされたリングは、1つの小さな位置決めリングを持つ、通常のマルゾッキ・タイプである。
フロントのダブル・ディスクは、280×6.35mmであり、穴開け加工が施されるとともに、リアのディスクは74年式750SSより僅かに小さい(229×6.35mm)ものが採用され、同じく穴開け加工が施されていた。
ブレーキ・ホースはラバー製であり、ロア・トリプル・クランプのジャンクションを介して、1本のホースがマスター・シリンダーに接続されており、キャリパー側はメタル製パイプを介して取り付けられている。
ラバー製カバーを持つブレーキ・プレッシャー・スイッチは、ロア・トリプル・クランプ上のジャンクションに取り付けられている。
ブレンボ製08キャリパーは、2つのブリード・ニップルを持つが、860GTと異なり、ブレーキ・パッドのプラスチック製カバーは取り付けられていなかった(79年式を除く)。
また、キャリパー・ボディーに「Brembo」のマークはない。
SSに取り付けられたブレンボ製キャリパーの幅は狭いため、通常の08キャリパー用のブレーキ・パッドを装着することが出来ない。
全てのブレンボ製キャリパーのシール・キットのパーツ番号は同じであるが、小さい方のOリングは、以前のブレンボ製キャリパーより更に小さいサイズである(9×1.5mm)。
チェーン・ガードはステンレス・スチール製であり、新しいパーツ番号が付与されたが、74年式750SSと同じものであるため、リアのマウント・ブラケットが長く、レースに際して大きなリア・スプロケットを取り付けることができる。
ギア・シフト及びリア・ブレーキ・レバーは、幅の広いスクエア・ケース・エンジンに適合するため、以前とは異なる形状となり、74年式750SSとは互換性がない。
・エンジン等
750SSのエンジン番号も、ラウンド・ケースの750SSと連番であり、クランク・ケース後方の「通常」の位置に刻印されている。
79年式750SSを除き、他のスクエア・ケース・エンジンと区別し、当該エンジンがレースのホモロゲーションのために製造されたことを意味するため、74年式750SSと同じく、「DM750」の後に「.1」が刻印されていた。
「.1」の刻印は手作業で行われたため、多くの場合、刻印が「ゆがんで」いる。
全てのスクエア・ケース・エンジンと同様に、クランク・ケースにピストン・サイズを示す「A」または「B」のアセンブリ番号は示されていない。
750SS及び900SSは、シリンダーは別であるが、同じクランク・ケースを使用しており、シリンダー・ベース・ガスケットも同じであるため、スクエア・ケースの750SSをボア・アップすることは容易である。
750SSと900SSのシリンダー・ヘッドは、スキッシュ・バンドのマシニングが異なるのみであり、左側のカムシャフト・ベアリング・ハウジングを目視することで確認できる(750SSは、以前のラウンド・ケース用「750」ハウジングを使用している)。
デスモドローミック・カムシャフトは、スクエア・ケースのカムシャフト・ギア・ドライブに適合させるため、キー溝の位置が74年式750SSとは異なっているが、プロファイルは同様であるとともに、インレット40mm及びエキゾースト36mmのバルブ径も同一である。
左側のエキゾースト・ヘッダーは、クランク・ケースを避けてグランド・クリアランスを確保するため、外側に出されるとともに、右側のエキゾースト・ヘッダーも、860GTとは異なるパーツが使用されていた。
サイレンサー・ホモロゲーション・プレートも、74年式750SS同様、「DM750SS E3 9R−11872」が指定され、従来同様の位置に取り付けられている。
・電装等
点火コードはブラックで、プラグ・キャップはラバーのKLG製であった。
メーターは以前と同様に、750S/860GTSスタイルのプラスチック製カバーに入れられ、クランプで固定されている。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750SS 075412〜075907 |
| エンジン形式 | DM750.1 075412〜075661 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 9.65:1 |
| 最大出力 | 73PS/8800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50V18 |
| 後輪 | 4.25V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 229mmディスク |
| ホイールベース | 1499mm |
| シート高 | 770mm |
| 全長 | 2220mm |
| 全幅 | 676mm |
| 重量 | 189kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 16/40 |
| タンク容量 | 20L |
| キャブレター | デロルトPHM40AD/AS |
| 総製造台数 | 249 |
75年式
・フレーム等
860GTは米国市場を意識したものであったが、74年式750SSがそうであったように、初期の900SS及び750SSもまた米国の規制を考慮せずに製造されており、言うなれば75年式のSSは、技術者達がこれらの規定に従うより、その機能を最優先に設計した最後のドゥカティであった。
75年式SSのフレーム番号は「DM750SS 075412」から始まり、ラウンド・ケースの750SSと連番であるほか、この年式に限って900SSと同じ番号シーケンスを使用している。
75年式のフレーム番号のいくつかには、フレーム番号が5桁(通常は6桁)のものがあり、これらは番号の頭に通常刻印されている「0」が省かれている(フレーム番号を刻印する際に「忘れた」ためであると推測される)。
番号シーケンスは、74年式750SSと同一であるが、75年式SSのフレームは、リア・マスター・シリンダー及びイグニッション・トランスデューサーのブラケットが異なっているほか、公式データでは、スイングアームが長く(460mm)、幅が広く(250mm)なっている。
20Lのファイバー・グラス製「イモラ」タンクは、クリア・ストライプがないことを除いて、3ポジションの燃料タップ及びグリーンのプラスチック製燃料ホースも含めて、74年式750SSと同様であるほか、外装関係はカラーリングを除いて同じである。
タンク及びサイド・カバー上の「ジウジアーロ」ロゴは、後の年式の750SSとは異なりホワイト/ブラックであり、ホワイト/ブラックの「DESMO」デカールが、カウルの左右及びシート後方に貼られている。
ファイバー・グラスとペイントの品質は低く、特にタンクにおいては時間が経つにつれて燃料がファイバー・グラスに染み込み、ペイントを浮き上がらせる問題が発生した。
マルゾッキ製リア・サスペンションは、ブラックのスプリング及びプラスチック製トップ・カバーを持ち、74年式750SSと同様に見えるが、僅かに長くなり(310mm)、グランド・クリアランスが向上されている。
なお、75年式及び76年式SSのリア・サスペンションには、「Marzocchi」デカールは貼られていない。
ブレンボ製のフロント・マスター・シリンダーは、他のモデルのものと同様であり、クリアのフルード・リザーバーは持っていない仕様である。
リアのブレーキ・マスター・シリンダーは、74年式750SSのロッキード製と同様に、サイド・カバーの裏側にあるが、ラバー製ホースが短すぎるため(370mm)、ラバー製カバーを持つブレーキ・プレッシャー・スイッチはリア・マッドガードの下にはみ出している。
リアのブレンボ製キャリパー自体には、新しいアルミ製サポート・プレートが採用されていた。
この年式のSSは、右シフト及び左ブレーキであるため、ステップ及びリンケージは74年式750SSと同様である。
6mmのアレン・ファスナーで留められているクリップオン・ハンドル、ベルリッキ製のラバー・ハンドグリップ、小さなブラックのプラスチック製カバーが付けられたスロットル・ストップ・スクリューをボディー上部に持つトマゼリ製デイトナ・スロットル、ブラックのブレーキ及びクラッチ・レバーは、74年式750SSと同じものである。
クラッチ・レバーは以前と同様の丸い形状のものである(750Sのパーツであり、互換性がある)が、ブレーキ・レバーは角張ったブレンボ・タイプであった。
・エンジン等
75年式750SS及び900SSのエンジンのベースは、スクエア・ケースの860GTである。
しかし、SSの製造開始は860GTの数ヶ月後、860ccモデルのエンジン番号「851683」以降なので、2線式の200Wオルタネータ及び4ダイオード18Aレギュレータが採用されているほか、860GTで2回目に行われた、クラッチ及びプライマリー・ドライブの変更が適用されている(860モデルのエンジン番号では「851193〜852178」の変更内容)。
このクラッチ・ハウジングには、25×42−12mmの2つのベアリングが使用されている。
SSのクラッチは、860GTとは異なっており、750GT及び750Sと同様、全ての8枚のフリクション・プレート及びドライビング・プレートは各々同じものであり、860GT/GTSに採用されたような、曲がったタグを持つプレートは使用されていない。
クラッチ・メカニズム全体は、76年式以降で使用されたものと異なり、ラウンド・ケース・モデルと同様である。
レイ・シャフト及び5速ギアの変更も、SSで初めて行われたが、すぐに860GT/GTSにも採用されている。
また、ファイナル・ドライブ・ギア比は、16/40である。
ギア・シフトは、クロスオーバー・シャフト及びリンケージを介した860GTのものより、操作性は良好であった。
セレクタ・メカニズムは右側ケース内にあったので、スクエア・ケースの左シフトを右にするのは容易であり、単に750モデル用のギア・シフト・スピンドルを取り付け、クラッチ・カバーに開いたクロスオーバー・シャフト用の穴にプラグを被せたのみである。
75年式SSのエンジンには、860GTに採用された短いコンロッド及びシリンダーが使用されており、74年式750SSのような削り出しのコンロッドは採用されていない。
コンロッドは鍛造品であったが、他の860ccモデルとは異なり、ビッグ・エンド・アイの周辺に2重の強化リブを持っていた。
これらは削り出しロッドよりも僅かに重く、各々440gである。
ビッグ・エンド・ベアリングは860GTと同じく、ケージ型の5mmローラーであり、クランク・ピンの径は36mmであるとともに、スモール・エンドは20mmであるが、750SSでは900SSより軽量なピストンにバランスさせるため、クランク・シャフトが異なっている。
フライホイールは、イグニッション・マグネットを含む860GT用のものであり、70歯のプライマリ・ギアにボルト留めされていた。
74年式750SSにはモンディアル製のピストンが採用されたが、75年式750SSは、20×52mmのリスト・ピンを持つボルゴ製のピストンを採用しており、圧縮比は僅かに高められている(9.65:1)。
また、ポリッシュされたオープニング/クロージング・ロッカー(クロージング・スプリングを含む)及びシリンダー・ヘッドについては、74年式750SSと共用されている。
75年式SSは限定モデルだったので、インレット・マニホールドはスチール製であるとともに、74年式750SSと同じくデロルト製PHM40AD/ASキャブレターを採用しているが、これにはティクラー仕様とチョーク仕様の両方が存在する。
この年式付近における他のモデルと同様、キャブレターのアルミ製フロート・ボウルはポリッシュされていた。
また、キャブレターには、メタル製メッシュが装着されたプラスチック製のベル・マウスが取り付けられているほか、エア・フィルターは装着されていない。
スクエア・ケース・エンジンの幅は、ラウンド・ケースより広いので、より長いキックスタート・シャフトが必要とされ、SSではこれに新しいキックスタート・レバーを組み合わせた。
これは75年式SS独自のパーツであり、パーツ・リストには掲載されていない。
しかし、このデザインは不十分であり、キックを一杯に広げたとき後方まで回ったので、キックするとシフト・レバーに当たり、エンジンが始動すると直ちに1速に入るという不具合を発生させた。
エンジンの下半分は、オイル・ポンプ、カムシャフト・ギア・ドライブ及びドゥカティ・エレクトロニカ製イグニッション・システムも含めて、860GTと同じである。
クランク・ケースのブリーザー・システムは、74年式の750SS及びいくつかの74年式750Sと同様、ブラックのプラスチック製ホース及びフラッパー・バルブで構成されていた。
75年式SSには、ラウンド・ケースの750ccモデルと同じ「ショート・ステー」のコンチ・マフラーのみが装着された。
エキゾースト・ヘッダーはシングル・パイプであるが、初期の750ccモデルとは互換性がない。
また、「Conti」と刻印されたマフラー・クランプも変更されている。
これらは8mmのアレン・ヘッド・ファスナーを使用していたが、フロントには径の小さい「R」クランプが使用され、750ccモデルに使用された径の大きい「M」タイプは、リアのみに使用されている。
これは、バランス・パイプとヘッダー・パイプを確実にシールするためである。
・電装等
この年式のSSには860GTと同様、ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッション・システムが採用されたが、その大きな進角特性(最大35−38度)のため信頼性が低く、ビッグ・エンドのトラブルを引き起こした。
全ての75年式SSは、5月20日以前に製造されているので、エンジン・ストップ・リレーの改良を受けておらず、他の2つのリレーがヘッドライト・シェル内に位置しているのに対し、エンジン・ストップ・リレーはタンクの下に設置されている。
雨の中を走行する際に問題が発生したため、その後リレーは改良されたが、何の改造もなくバッテリー・レスでエンジンを動かすことが出来るという利点があった。
エンジン・ストップ・リレーとイグニッションを除いて、ワイヤリングは本質的に74年式750SSと同じである。
750スタイルの4ピン2ポジションのイグニッション・スイッチは、左側のシートとタンクの間に取り付けられるとともに、シート下のアプリリア製ヒューズ・ボックスは860GTとは異なり4ヒューズ仕様であった。
プラスチック製のインストルメント・パネルもまた、ラウンド・ケースの750SSと共用である。
この年式のSSにはスミス製のメーターのみが採用され、右に250km/hのスピード・メーター、左に8000rpmレッド・ラインのタコ・メーターが取り付けられている。
74年式750SSとは異なり、この年式には英国向けに「マイル表記」のスピード・メーターが取り付けられているものもある。
インストルメント・パネルには「Gen」、「Beam」及び「Lights」の3つのインジケータがある。
ライト/パーク・スイッチは、インジケータの下にあり、これらは以前の750SSのように、ホワイトの細い線で囲まれていた。
スイッチ類は、そのまま74年式750SSのものである。
71年式750GT(それ以前にシングルにも)に採用された、クロムメッキされた小さなハイ/ロー・ビーム及びホーン・スイッチが、左側ハンドルに取り付けられているとともに、3ポジション・ライト・スイッチは、インストルメント・パネル上に取り付けられていた。
750Sに採用された、アプリリア製170mm「JOD」デュプロ55/60Wハロゲン・ヘッドランプが使用され、これにはクロムメッキされたシェル内に、2つのリレー(インジケータ及びヘッドランプ)及び3Wのパーキング・ランプが装着されている。
テールランプは、小さなCEV製レンズを持つ欧州仕様のCEV製のものであり、シルバーにペイントされたテールランプ・ハウジング及びブラケットを介して取り付けられていた。
また、ホーンはベッリ製のシングル・ホーンである。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750SS 075908〜076327 |
| エンジン形式 | DM750.1 075662〜076081 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 9.65:1 |
| 最大出力 | 73PS/8800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50V18 |
| 後輪 | 4.25V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 229mmディスク |
| ホイールベース | 1499mm |
| シート高 | 770mm |
| 全長 | 2220mm |
| 全幅 | 676mm |
| 重量 | 189kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 18L |
| キャブレター | デロルトPHM40AD/AS デロルトPHF32AD/AS |
| 総製造台数 | 420 (76年式220、77〜78年式各100) |
76〜78年式
・フレーム等
860GTが世界中で壊滅的なセールスを記録している間、ディーラーはSSを熱望していた。
これを受けてドゥカティ社は、75年式SSが「合法」だった国だけではなく、世界中で販売できるように、SSに大きな変更を行っている。
ドゥカティ社は、それ以前の2年間に重大な失敗をしたが(特に860GTとパラレル・ツイン)、これが幸いして、76年の変更においてもSSの「理念」は保たれることとなった。
76年にはフレーム番号は、750及び900SSで異なるようになった。
900SSに新しいフレーム番号が付与されたことに対し、750はそのままのシーケンスが続けられた。
フレームの寸法等は、本質的に75年から変更はないが、76年式ではマフラーを取り付ける2つのブラケットが変更され、これらはフレーム右側にリア・ブレーキ・マスター・シリンダーを取り付けるため、より垂直に傾けられている。
新しく750Sのものと形状が類似している18L容量のスチール製タンクが採用され(グラス・ファイバー製イモラ・タンクはオプション)、これには新しいデカールが貼られている(ブルーのジウジアーロ・スタイル「DUCATI」デカール及びブルーのストライプ)。
タンクは以前の緩いラバー製パッドではなく、フレーム・チューブ上の専用のラバー製ブロックを介して、フレーム上に固定されていた。
タンクのブラケットは高くなり、フレームにはタンクを取り付けるため、2ポジションのボルト穴が開けられている(1つは新しいスチール製タンク用、もう一つは以前のイモラ・タンク用)。
また、エア・クリーナーを取り付けるため、新しいブラケットが追加されている。
フレームのペイントは、以前と同様にシルバーであった。
サイド・カバーの「750 Super Sport」、シート及びマッドガードのデカールには変更はない。
フロント・カウルには、ターン・シグナルのための切り欠きが施されるとともに、形状が以前のものより僅かに狭く、高くなった。
スクリーンは以前と同様であるが、77年にはエッジにブラック・クロム・テープが追加されている。
スチール製タンクは、グラス・ファイバー製よりも短いので、それに合わせてシングル・シートは長くなり、シート・パッド前方が僅かに上がっている。
ジッパー式の小物入れは以前と同様であり、シート下にはエンジン・ブリージング・キャッチ・タンクがボルト留めされ、リアのエア・フィルター・ボックスに接続されており、これ以降、SSのクランク・ケース・ブリーザーは大気開放ではなくなった。
また、77年には、デュアル・シートとタンデム・ステップがオプションとなった。
これには、ロック可能なリアの小物入れがあるほか、76年及び77年式のデュアル・シートには、ベースの周りにプラスチック製のガスケットが取り付けられている。
ボラーニ製ホイール、穴開け加工された鋳鉄ディスク及びブラックにペイントされた38mmマルゾッキ製フロント・フォークには変更はないが、新しいリア・サスペンションが採用されている。
リア・サスペンションには小さなレッドの「Marzocchi」デカールが貼られ、プラスチック製のトップ・カバーがなくなり、代わりにスチール製プレートを持っていた。
新しいブレンボ製リア・マスター・シリンダーは、右側マフラー・ブラケットに取り付けられているが、リア・キャリパーはリア・ホイールの左側に位置しているため、これまでより長いラバー製ブレーキ・ホース(650mm)が必要となった。
76年式SSでは、リザーバー・タンクがクリアでないブレンボ製フロント・マスター・シリンダーを採用していたが、77年にはクリアのリザーバー・タンクとなり、以降、SSの製造終了までこの仕様である。
これらのクリア・リザーバーを持つマスター・シリンダーは、ハンドルに近づけるため、窪んだボディーを持っていた。
クラッチ及びブレーキ・レバーはブラックであったが、クラッチ・レバーは、ブレンボ製ブレーキ・レバーに合わせて形状が変更されている。
これは少し角張った形状であるが、パーツ番号は以前と同じである。
ステップは可倒式でラバーが取り付けられたものとなり、スイングアーム・ピボット付近のフレームの「ギザ」上に、750及び860GTのように装着された。
このステップは、以前と同じ場所に取り付けることができ、その場合、ライディング・ポジションは以前と同様である。
クリップ・オン・ハンドルは、以前と同じ形状及び角度であるが、これらは六角ボルト及びナットで取り付けられている。
クロムメッキされたトマゼリ製スロットルは、スロットル・ストップ・スクリューが上部から下に移されたが、パーツ番号は同一である。
76年式では、ベルリッキ製のハンドグリップは以前と同様であるが、77年には新しいものが採用されている(パーツ番号は同一)。
・エンジン等
この年式の750SSのエンジン仕様は、75年式から大きな変更はない。
ほとんどの変更は、米国の左シフト及び一般的な騒音規制に対する「静かなマフラー」といった国際的な規制に、SSを対応させるために必要なものであった。
ギアの変更は、この年式における最も大きな変更である。
860GT及びGTSに倣い、ギア・シフトはリンケージ及びクロスオーバー・シャフトを使用して左側に移動されたため、シフトの精度は低下している。
また、75年式のキックスタートの問題に対処するため、新しい形状のキックスタート・レバーが取り付けられている。
これは「自動」ギア・シフトを解消したが、以前と同様に強度は低かった。
さらに、キックスタート・シャフト・ギアも36歯のものに変更されている。
クラッチ・ハウジングは、25×47×12mm及び25×52×15mmの2つの異なるサイズのベアリングを持つ、860GTSと同じもの(エンジン番号「852178」からの3回目の変更)となった。
860GTSと同じく、新しいクラッチ・ドラムが採用されているが、クラッチ・プレートは75年式SSと同様、曲がったタグのない仕様である。
76年式初期のSSは、75年式と同様のポリッシュされたバルブ・ロッカーを持っていたが、すぐに通常の鍛造品となった。
以前と同様、750SSはラウンド・ケース用の「750」カムシャフト・ベアリング・ハウジングを使用しており、目視で確認できる。
また、クランク・シャフトは、ビッグ・エンドに5mmローラー・ベアリングを持ち、36mmのクランク・ピンを使用していた。
仕様の大きな変更は、キャブレター及びエキゾースト・パイプ関係である。
加速ポンプ付きのデロルト製PHM40Aキャブレターは、エア・クリーナー及びチョーク機構を持つデロルト製PHF32Aキャブレターに変更された。
ホワイトのプラスチック製チョーク・レバーは、860GT/GTSのようにハンドルやヘッドライト・ブラケットには取り付けられず、タンク下の左側リア・ダウン・チューブに小さなブラケットを介して取り付けられていた。
40mmキャブレターはオプションとして用意されたが、全てにチョーク・メカニズム及びプラスチック製ベル・マウス(メタル製ではなく、プラスチック製のメッシュを持つ)が取り付けられていた。
32mm及び40mmキャブレターの両方とも、フューエル・バンジョー・ジャンクションがアルミ製からホワイトのプラスチック製となり、フロート・ボウルもポリッシュされたものではなくなった。
乾式のエア・フィルターは、32mmキャブレター仕様のみに取り付けられたが、860GTに採用されたものと同様であり、2つのメタル製ボックス(フレームに合わせてシルバーにペイントされている)及び堅いプラスチック製のエア・インテークを持っている。
なお、シリンダー・ヘッド及びインレット・ポートは変更されていないので、32mmキャブレター仕様のSSに対して、40mmキャブレターをボルト・オンで取り付けることができる。
コンチ製マフラーは、750GTに初めて採用されたときでさえ、ほとんど合法すれすれだったため、SSにはより静かなマフラーが必要とされたが、利用可能な「静かなマフラー」は、860GTに採用されたラフランコーニ製しかなかったので、SSにもこのマフラーが取り付けられた。
しかし「小さいキャブレター」及び「静かなマフラー」を弁解するかのように、ドゥカティ社はSSの出荷時、大きなキャブレター及びマニホールド、並びにコンチ製マフラー(オプション)を同梱して出荷していた。
コンチ製マフラーは、3つのディンプルを持つ、長く大きなブラケットが装着され、更にスイングアームを避けるために11.5×20×10mmのスペーサーが入れられた。
このマフラーには「Conti」の刻印と8mmのアレン・ファスナーを持つ、初期のコンチ製クランプを使用することができたが、ほとんどがラフランコーニ製マフラーの仕様であったため、取り付けられた例はまれである。
ヘッダー・パイプは新しくなったが、全てのSSのヘッダー・パイプは860GTと同じパーツ番号を持つ。
なお、イタリア市場においては、デロルト製40mmキャブレター及びコンチ製マフラーは、750SSの標準部品であった。
これは、プロダクション・レースのレギュレーションを考慮したためであると推測される。
インレット・マニホールドはスチール製ではなく、アルミ鋳物製となったほか、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートは、左シフト化のリンケージのため、それが取り付けられていたフレーム右側エンジン・マウントの間が切り取られたので、右側サイド・カバーの下、ブレーキ・ペダルの上に移動された。
・電装等
ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッション・システムは前年式と同様であるが、点火時期の仕様が変更され、750SSの最大進角は34−36度となった。
また、イグニッション・トランスデューサーはタンク下に移動されるとともに、レギュレータは右側サイド・カバーの裏側のリア・フレーム・ダウンチューブに取り付けられている。
この年式における大きな変更の一つは、前後にターン・インジケーターが取り付けられたことである。
アプリリア製のターン・インジケーターは、プラスチック製のボディーであり、内部にサイド・リフレクターが装着されていた。
米国仕様のSSは、CEV製のターン・インジケーターが取り付けられ、形状もアプリリア製のものとは異なっている。
リアのインジケーターは、シルバーにペイントされた小さなCEV製テール・ライト・ブラケットに取り付けられている。
また米国仕様では、クロムメッキされたスチール製のブラケットに、大型のテール・ライトが取り付けられていた。
このCEV製テール・ライト自体は、860GTに取り付けられたものと同じである。
また、イグニッション・スイッチは新しく「parking、stop及びon」の3ポジション・スイッチとなり、伝統的なタンクとシートの間から、インストルメント・パネル上に移動された。
左側フレームのシート及びタンクの下にある、以前のイグニッション・スイッチのためのブラケットは、キーのための穴は開けられていないが、以前と同じ「逃げ角」で取り付けられている。
76年式のインストルメント・パネルには、以前と同様に3つのインジケーターがあり、細いホワイトのラインで囲まれていた。
77年式ではこれに代わり、5つ(Gen:レッド、Hi:ブルー、N(ニュートラル):グリーン、L(ライト):グリーン、<−>(ターン):イエロー)のインジケーターを持つ新しいインストルメント・パネルが採用されているが、このインストルメント・パネル上の「細いホワイトのライン」は、インジケーターの周囲のみであり、76年式と同様である。
さらに78年式では、インストルメント・パネルは77年式と同じく5インジケーター仕様であるが、細いホワイトのラインは、インジケータ及びキーの両方を囲んでいる。
76年式のパーツ・リストではスミス製メーターが標準に指定されており、通常、スピード・メーターが右、タコ・メーターが左に取り付けられている(パーツ・リストでは逆になっている)。
しかし、77年初期のメトリック仕様SSのいくつかは、ベリア製のメーターを採用しており、240km/hスピード・メーター及び8500rpmレッド・ラインのタコ・メーターが取り付けられていたが、750Sで使用されていたものよりレッド・ラインが高くなったため、これらには新しいパーツ番号が付与されている。
また77年式の米国仕様のSSは、150mphのスミス製メーターを使用していた。
78年式ではマイル表記のメーターはスミス製であったが、メトリック表記のメーターは全てがベリア製(240km/h)となった。
右側シフト、コンチ製マフラー及びファイバーグラス製タンクのように、クロムメッキされた小さなアプリリア製ライト及びホーン・スイッチは、特に米国で販売しようとした場合に規制に対応できなかった。
ドゥカティ社はスイッチ類について、アプリリア社と提携していたので、アプリリア社はSSのために、ホンダ車に取り付けられた日本電装製タイプをモデルとして、新しい左側スイッチ・ブロックを製造した。
このスイッチ・ブロックはブラックのプラスチック製で、以前のタイプよりもかなり洗練されており、3ポジション・ライト・スイッチ(off、parking、lights)、ハイ・ビーム/ロー・ビーム・スイッチ、ホーン、ヘッドランプ・フラッシャー及び左右ターン・スイッチを持っているほか、ホワイトで文字が入れられている。
これらのモデルには、エンジン・ストップ・スイッチは装着されていないが、初期のモデル及び860ccモデルに取り付けられた「扱いづらい」CEV製スイッチより、かなり改良されていた。
77年式以降は新しいハンドル・スイッチが採用され、これらは最終型の900GTSと同じである。
これには3ポジション・ライト・スイッチ(米国仕様は2ポジション)、ハイ/ロー・ビーム、ホーン/ヘッドランプ・フラッシャー及びターン・インジケーター・スイッチが取り付けられていた。
76年式と異なり、右側ハンドルには「単体」のCEV製エンジン・ストップ・スイッチが後付で取り付けられている。
76年式のヘッドライトは以前と同様、アプリリア製55/60W「JOD」デュプロであったが、ヘッドランプ・シェルはクロムメッキではなく、ブラックであった。
ヘッドランプ・シェル内の配線は、860GT及びGTSの2番目の変更と同様である。
エンジン・ストップ・リレーはヘッドランプ・シェル内に取り付けられるとともに、配線には「マルチ・プラグ」コネクタが使用されていた。
77年式以降の欧州仕様のヘッドライトは、76年式と同様であるが、米国仕様では3Wパーキング・ライトのない、アプリリア製12Vシールド・ビーム・ライトが取り付けられている。
配線は、860/900GTSにおける3番目の変更に従い、3ヒューズ仕様のヒューズ・ボックス(76年式は前年式同様の4ヒューズ仕様)及び、より多くのマルチ・プラグ・コネクターが使用されている。
ヘッドランプ・フラッシャー及びエンジン・ストップ・リレーは、ヘッドライト・シェル内ではなく、ヒューズ・ボックスのあるシート下に移動された。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM750SS 076328〜076357 |
| エンジン形式 | DM750 076082〜076111 |
| ボア×ストローク | 80×74.4mm |
| 総排気量 | 748cc |
| 圧縮比 | 9.65:1 |
| 最大出力 | 73PS/8800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50V18 |
| 後輪 | 4.25V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 229mmディスク |
| ホイールベース | 1499mm |
| シート高 | 770mm |
| 全長 | 2220mm |
| 全幅 | 676mm |
| 重量 | 187kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 18L |
| キャブレター | デロルトPHM40AD/AS デロルトPHF32AD/AS |
| 総製造台数 | 30 |
79年式
・フレーム等
78年末、79年式として極少数の750SSが製造されたが、これはボラーニ製スポーク・ホイールを採用する最後のドゥカティであった。
ほとんどの点で78年式900SS(78年、900SDで行われた大幅な改良が取り込まれている)と同様であるが、79年式750SSには、同年式の900MHRと共用部品である、ブラックのベルリッキ製プラスチック・スロットル及びブレンボ製「ゴールドライン」08ブレーキ・キャリパーが採用されていた。
「ゴールドライン」キャリパーは、1つのブリード・ニップルしか持たず、プラスチック製のブレーキ・パッド・カバーは被せられていない。
79年式900SSが初期の900SDの燃料タップを使用したので、79年式750SSはパイオリ製プラスチック・タップを使用した最後のタイプである。
この時点で全ての900SSは、スピードライン製マグネシウム・ホイールを採用したが、750SSはボラーニ製WM3スポーク・ホイール及び小径のリア・ディスク(229mm)を採用していた。
79年式750SSは、ベベル・ギアを採用した最後の750ccモデルであり、900SDに施されたエンジン及び電装関係の改良の多くが取り入れられるとともに、ブレンボ製「ゴールドライン」キャリパー等の独特の装備を持ち、特に興味深いモデルである。
・エンジン等
最終型750SSは、900SSの例に倣って、エンジン番号の「.1」の刻印がなくなっている。
エンジン仕様も、78年式900SSに合わせて、ボッシュ製のイグニッション及び900SDスタイルの左側シフトを持っている。
これらのエンジンには、38mmのクランク・ピン及び3mmのケージ・ローラー・ビッグ・エンド・ベアリングを持つクランク・シャフトが使用されていた。
前年式までのスクエア・ケースの750SSと同様、750SSと900SSを区別できる外観的特徴は、「750」カムシャフト・ベアリング・サポートのみである。
全ての最終型750SSには、エア・フィルター及びチョーク機構を持つ、デロルト製PHF32AD/ASキャブレターが採用されており、これらにはラフランコーニ製マフラーではなく、コンチ製マフラーに860GTのエキゾースト・ヘッダーが組み合わされていた。
・電装等
ライト及びスイッチ類は、78年式900SSと同じくCEV製となり、ターン・インジケータは900SDと同じものが採用されるとともに、テール・ランプはメタル製ブラケットに取り付けられた大型のものとなった。
メーターはベリア製のみであり、インストルメント・パネルは前年式の750SSと同じである。
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