共通仕様/77〜78年式/79年式/80年式/81年式/82〜84年式
860/900GTSは、860GT(E)から僅かに進化したとはいえ、スポーツ・ツアラーの理念を体現したものではなかった。
76年初頭、ドゥカティ社は860GTの失敗が明らかであり、860GTSがこれを挽回できないことを認識し、860GTの「再設計」を、イタルジェット社のレオポルド・タルタリーニに依頼した。
900SDは、バルブ・スプリングの860ccモデルの終焉及びSSモデルの成功を受けて、スポーツ・ツアラー及びスーパー・スポーツの2つのコンセプトを合体させたモデルであり、そのプロトタイプは76年末のボローニャ・ショウで発表された。
このプロトタイプは、860GTSをベースにしたものであり、エンジンはクロスオーバー・シャフトによって左シフト化されるとともに、ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッションを持っていたが、FPS製18インチ・キャスト・アルミ・ホイール、ブレンボ製280mmトリプル・ディスク・ブレーキ、日本電装製メーター及びスイッチ類、並びに小さなクリアーのハンドル・マウント・スクリーンが装着され、全体がシルバーにペイントされていた。
また、ベベル系Lツイン・モデルとしては初めて、イタリアの子供向け物語の虎の名前から「ダーマ」のペットネームがつけられた。
900SDは77年7月から製造が開始されたが、プロダクション・モデルはプロトタイプから大きく変更されていた。
補用品及び電子部品等は、ほぼ完全に新しいものとなり、以前の860ccモデルとの部品の供用は極僅かである。
公道モデルにデスモドローミック・ヘッドが本当に必要だったか疑問は残るが、以前の860ccスポーツ・ツアラーから大きな進歩を遂げたことは確かである。
900SDは、ドゥカティ社にとって非常に成功したモデルであったが、デスモドローミック・エンジンの仕様は、900SDより高価な900SSや900MHRと同じであるとともに、900SDにはより多くの装備が装着されていたため、最も利益にならなかった。
900SSと比較して、900SDにはエレクトリック・スタートや信頼性の高いインストルメントが、より安価で提供されていたが、ドゥカティ社の伝統的なスポーツ指向を欠いていた。
ある資料によれば、900SDの総製造台数は5764台とされている。
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共通仕様
・フレーム等
900SDのフレームは、860GTから派生したものであるが、79年までは900SSと同じフレーム形式「DM860SS」及びホモロゲーション番号「DGM 13715 OM」が指定されており、フレーム番号シーケンスは、900SSと区別するため「900001」から付与されている。
79年以降、同じフレーム番号シーケンスを使用する900MHRの発売を受けて、900SDはその派生モデルであるが、独立したフレーム形式等を使用していた900SSDに合わせ、フレーム形式「DM900SD」及びホモロゲーション番号「DGM 19139 OM」が指定され、フレーム番号シーケンスは「950001」から付与された。
これらの番号は、860GT/GTSのようにステアリング・ヘッドではなく、SSと同じくフレーム左側のエンジン・マウント・ボルトの間に刻印されていた。
ブラックにペイントされたフレームは、860GTに類似している。
フロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント部はフラットな形状で、先端が860GTのように「くの字」に曲がっているが、フロント・ダウン・チューブの補強は、湾曲しておらず、ストレートな形状であるとともに、全ての市場に対する標準装備として、左側フロント・ダウン・チューブにサイド・スタンドが装着された。
また、シート高を下げるため、900SDのリア・サブ・フレームは低くなっている。
ドゥカティ社は900SDで初めて、通常のスポーク・ホイールに代わり、マグネシウム合金製ホイールを採用した。
フロント・ホイールのサイズは、以前の860ccモデルと同様(WM3 2.15×18インチ)であったが、リア・ホイールはWM4 2.50×18インチにサイズ・アップされている。
フロント及びリア・アクスルは、900SDではSSタイプのものから変更されている。
フロントはトミー・バーではなくなり、新しくナイロック・ナットが使用されるようになるとともに、リア・ハブはキャスト・ホイールと一体となったため、ドライブ・システムはSSタイプ(フロント・ハブを改修して使用していた)より、かなり簡素化されている。
初期の860ccモデルと同様、ブレーキ・キャリパー及びマスター・シリンダーはブレンボ製であり、リア・マスター・シリンダーは、右側ステップ及びマフラー・ブラケットに取り付けられている。
900SDはまた、新しいステップ・ラバー及びクロムメッキされたリア・ブレーキ・レバーを持っていた。
900SDの外装は、完全に新設計である。
スチール製タンクの容量は15Lのみであり、新しくパイオリ製のノン・コネクティング・フューエル・タップが採用されていた。
ファイバーグラス製のシート・ベースは、所謂「ダック・テイル」であり、シート・パッドはヒンジ式ではなかったが、脱着可能であった。
また、900SDのチェーン・ガードはブラック・ペイントのみである。
・エンジン等
900SDには、新しいエンジン形式が指定された。
エンジン番号は「DM860 900001」から開始され、エレクトリック・スタートの900S2から900MHRまで続けられた(このエンジン番号シーケンスは、エレクトリック・スタートのデスモドローミック・エンジンに付与されている)。
900SDのエンジンは、860GT/GTSからいくつかの大きな改修が行われ、信頼性が向上されている。
最も大きな改修の一つは、クランク・シャフトに行われている。
鍛造のコンロッドは860GTSから変更はないが、ビッグ・エンド・ベアリングが23ケージの3×17mmローラーとなり、ベアリングの接触面積を大きくするとともに、クランクピンの径は38mmに拡大されている。
86mm径のボルゴ製鍛造3リング・スリッパー・ピストンは、デスモドローミック・カムシャフト及びバルブとともに、900SSと共用部品であった。
最終型900GTSの「デュアル・バルブ・スプリング」の問題を解消するため、ドゥカティ社はバルブ・スプリング・モデルの製造を中止し、デスモドローミック・シリンダー・ヘッドのみを製造することを決定した。
このため、900SDにはデスモドローミックが採用されている。
シリンダー・ヘッドは900SSと同様であり、バルブの調整にはシムが使用されている。
オープニング・シムは2〜5mmの範囲(0.05mm毎)、クロージング・カラーは5〜9mmの範囲(0.2mm毎)で調整することができる。
ギア・シフトとセレクター・メカニズムは、左側のクラッチ・ハウジング下部に移動された。
このシステムは、以前のクロスオーバー・シャフトを介したものより遙かに優れたシステムであったが、シフト精度は右側シフトには及ばなかった。
セレクター上のピンには、問題が発生する場合があったが、セレクターの分解は以前と同様に難しかった。
右側エンジン・カバーは新しくされ、これにはクラッチ・ロッド・メカニズムのみが取り付けられていた。
また、ダーマには新しいクランク・ケースが採用されている。
イグニッション・ワイヤーは、クラッチ・ケースを通して出されるようになったので、フロント・エンジン・マウント下部にあったクランク・ケースの穴は必要なくなった。
キャブレターはデロルト製PHF32AD/ASであり、ブラックのメタル製エア・フィルター・ボックスと堅いプラスチック製のインテークが取り付けられており、860GTSと同じく、ホワイトのプラスチック製チョーク・レバーが、インストルメント・パネルの左側に装着されていた。
サイレンサー・ホモロゲーション・プレートは、右側のエンジン上部に取り付けられている。
サイレンサー・ホモロゲーション番号は860GT同様、「DM860S E3 9R−13716」が指定されているが、このプレートはいくつかの米国向け900SDには取り付けられなかった。
・電装等
最も大きな変更は、イグニッション及びエレクトリック・スターターに行われている。
信頼性の低かったドゥカティ・エレクトロニカ社製イグニッション・システムは、ボッシュ製のものに変更されるとともに、イグニッション・ピックアップはクランク・ケース側でなく、クラッチ・カバー内に取り付けられ、750ccモデルと同様のアウター・フライホイールが使用された。
イグニッション・ローターは、クランク・シャフトの端に取り付けられている。
イグニッション・ピックアップがエンジン・オイルに浸ることを完全に解決してはいないが、このシステムは初期のドゥカティ・エレクトロニカ製のものよりも信頼性が高かった。
ボッシュ製のイグニッション・システムは、ドゥカティ・エレクトロニカ製のシステムより、点火進角特性が大きく向上されている。
イグニッション・ローターは、4段階の点火進角(900rpm=9度、1800rpm=16度、2800rpm=28度、4000rpm=32度)を提供しているが、イグニッション・システムは自己発電せず、エンジンの始動にはバッテリーが必要である。
点火コードはブラックのタイプであり、プラグ・キャップはKLGのラバー製のものか、または後には電気干渉を抑制したプラスチック製のものが採用されている。
900SDはエレクトリック・スタートが標準であったため、全ての900SDに容量の大きなユアサ製36Ah B68バッテリーが採用されていた。
エレクトリック・スタートは、860GTE/860GTSと同じく、重いマレリ製MT65Bスターター・モーターが採用されていたが、スイッチ及びドライブ・システムは全面的に改良され、簡素化されるとともに、信頼性が大きく向上している。
クランク・シャフト・スターター・ギアは、フライホイール内部の特殊なフリーホイール・ベアリングとともに、クランク・シャフトから独立して取り付けられた。
このベアリングに問題が発生し、エンジンがスターター・モーターを回転させてしまう場合があったが、エレクトリック・スターターは、コールド・スタートの場合でもキックを使用することがまれになるほど信頼性が高かった。
イグニッションだけでなく、全体の電気系統も改良を受けている。
900SDのインストルメント・パネルは完全に新しくなり、日本電装製の8000rpmタコメーターが右に、220km/h(または140mph)スピードメーターが左に取り付けられている。
ダッシュボード上には、3ポジション・イグニッション・キー及びStand(赤)、Lights(緑)、High Beam(青)、Left(オレンジ点滅)、Right(オレンジ点滅)、Gen(赤)及びNeutral(緑)のインジケータが装着されている。
インジケータの装着は大きな進歩であったが、スイッチ、特にセンタースタンドとニュートラル・スイッチの信頼性は著しく低かった。
全ての市場に対して180mm径55/60H4ヘッドライトが採用されているが、米国仕様には3Wパーキング・ライトが装備されていない。
テール・ライトはCEV製の860GTSタイプ(5/21W)であり、ブラックのメタル製ブラケットに取り付けられていた。
ウィンカーはクロムメッキされたCEV製のプラスチックのものであり、米国仕様にはサイド・リフレクターが装着されている。
ホーンは、クロムメッキされたベッリ製から、ブラックにペイントされたボッシュ製のものに変更されている。
3本仕様のヒューズ・ボックス及び全てのリレーは、ステアリング・ヘッドの下にマウントされ、以前の860ccモデルより点検等をしづらくなっている。
スイッチとスロットル・アセンブリは大きく変更されている。
スイッチ・ブロックは日本電装製で、左側にはライト(オフ/パーキング/ライト)、ハイ/ロー・ビーム、ウィンカー及びホーン・スイッチがあり、右側にはスロットルと一体になってエレクトリック・スタート及びエンジン・ストップ・スイッチがある。
スロットルも日本電装製であり、860GT/GTSと同じく、ジャンクションを介したシングル・ケーブル式である。
ブレーキ及びクラッチ・レバーはポリッシュされたアルミ製であり、日本電装製のスロットルのため、左右で異なるハンドグリップが採用されていた。
全体の電気系統は、以前より信頼性が高く、またメーター類も正確であった。
900SDでは、イタリア製以外のパーツが多く使用されているが、これはドゥカティ社が日本や他の欧州のメーカーと、スポーツ・ツアラー市場における競争を真剣に考えていたことを示している。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM860SS 900001〜901610 |
| エンジン形式 | DM860 900001〜901610 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 780mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 780mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32AD/AS |
| 総製造台数 | 約3010 (77年式1610、78年式約1400) |
77〜78年式
・フレーム等
スイング・アームは860GT同様、スイング・アーム・ピボットにエキセントリック・チェーン・アジャスターが採用されるとともに、給脂が容易に行えるよう、グリース・ニップルは中央下部に移動された。
フロント・フォークは860GT同様、ポリッシュされたフォーク・レグ及びブラックにペイントされたトリプル・クランプを持つ、セリアーニ製のものであり、フォーク・レグ下部に、黒い小さな「Ceriani」デカールが貼られていた。
初期型の900SDには、初期の860GT/GTSと同じく、長いフロント・フォークが採用されており、38mm径のフォーク・チューブの長さは608mmで、525mmのスプリング及び216mmのダンピング・ロッドを持っていた。
リア・サスペンションは、通常のマルゾッキ製であったが、リア・サブ・フレームの高さが低いため、フレーム番号「900989」まで長さは300mmと短くなっているほか、クロムメッキされたスプリングを持ち、通常の赤い「Marzocchi」デカールが貼られていた。
長いフロント・フォークと短いリア・サスペンションの組み合わせは、非常にスローなステアリング特性を誘発したため、900SDの発売後まもなく、フロント・フォークは短いセリアーニ製のものに変更された。
これらは初期の750GTに装着されたものと同じ長さであり、フォーク・チューブの長さは580mm、スプリングは495mm及びダンピング・ロッドは241mmであった。
フレーム番号「901174」から、フロント・フォークは、ポリッシュされたアルミ製フォーク・レグを持つ38mm径のマルゾッキ製のものに変更されている。
マルゾッキ製フォークが取り付けられた860/900GTSと異なり、900SDのトリプル・クランプはオフセットのない仕様であり、ブラックにペイントされていた(フォーク・チューブの長さは600mm)。
マルゾッキ製フォークに取り付けられた、ブレンボ製ブレーキ・キャリパーの取り付け位置は、セリアーニ製に取り付けられたものから少し変更されている。
これは、マルゾッキ製フォークに取り付けられるブレンボ製キャリパーが、通常、リアに取り付けられるものと同じためである。
フレーム番号「900900」以降、リア・サスペンションは以前のクロムメッキされたスプリングを持つ、やや長いタイプ(315mm)となった。
フレーム番号「901173」から、あまり効果はなかったが新しい標準装備品として、パイオリ製7段調整ステアリング・ダンパーが、下部トリプル・クランプの下からフロント・ダウン・チューブに取り付けられた。
パイオリ製ダンパーは、フルード漏れを起こす場合があったが、初期のシングルから750ccモデル及び他の860ccモデルに採用されていたフリクション・ダンパーより良好に動作した。
77年式の900SDのホイールは、ゴールドにペイントされた5本スポークのカンパニョーロ製であり、これに穴空け加工のない4穴の280mm鋳鉄ディスクが組み合わされていた(リア・ディスクも同様)。
キャリパーは2つのブリード・スクリュー及びブレーキ・パッド・カバーを持つとともに、ハード及びソフトの2種類のパッドを選択することができた。
新しいリア・ホイールには、以前の860ccモデルと同様のドライブ・アセンブリが組み込まれている。
ドゥカティのキャスト・ホイールは、80年に改良されるまで、ドライブ・アタッチメント・ファスナーが緩むというトラブルが発生した。
77年式の900SDでは、タンクの燃料タップはメタル製であり、プラスチック製のタップ・カバー及びクリアのフィルター・ボウルを持っており、タンク・キャップは鍵のないタイプである。
77年式の900SDは、レッドにペイントされ、ホワイトの「DUCATI」タンク・デカールが貼られるとともに、ホワイトの幅広のラインが、タンクからシートにかけて引かれていた。
タンクのペイントは通常のアクリル・ラッカーであり、初期のイエローの「Made in Italy」デカールが貼られているとともに、サイド・カバーはペイントされていないABS製であり、「SD900」デカールが貼られている。
フロント及びリア・マッドガードはステンレス・スチール製であったが、リア・キャブレターの後方にプラスチック製の部分がある。
860GTSと同様の、クロムメッキされたハンド・レールが取り付けられていたが、後に新しいタイプに変更された。
78年には新しいカラーとしてブラック/ゴールドが追加されるとともに、新しい燃料タップが採用されている。
新しいタップはメタル製であり、クリアのプラスチック製フィルター・カップを持っていた。
ただし、いくつかの78年式900SDは、79年式900SS同様のプラスチックのパイオリ製燃料タップを持っている。
レッド/ホワイトのカラーも併売されていたが、全てのサイド・カバーには「虎」のデカールが貼られていた。
ブラック/ゴールドの900SDの発売に併せて、ホイールもカンパニョーロ製からスピードライン製の5本スポーク・ホイール(マグネシウム)に変更されている。
・エンジン等
エンジン番号「901228」までは、以前の860ccモデルと同じクランク・シャフト・フライホイールが採用され、36−38mm径のステップ・クランク・ピンが使用されていたが、エンジン番号「901229」以降、38mmのストレート・クランク・ピンを持つコンロッド・アセンブリが使用されている。
新しいクランク・シャフトは、ビッグエンドのトラブルを完全になくすことはできなかったが、小さなローラー・ベアリングによりクランク・シャフトの寿命は大きく進化している。
新しいクランク・シャフトは、また、36.5×48mmの大径のスラスト・ワッシャーを使用していた。
ギア・ボックス及びクラッチは、860GTSと同じものであり、アレン・スクリューで留められたクラッチ・スプリングを持っている。
また、77年式の900SDは、四角い860カムシャフト・ベアリング・ハウジングを持っていたが、78年式のエンジンは、カムシャフト・ベアリング・ハウジングが変更されるとともに、新しいバルブ・ガイド・Oリング・シールが採用されている。
キャブレターはデロルト製PHF32AD/ASであり、ブラックのメタル製エア・フィルター・ボックスと堅いプラスチック製のインテークが取り付けられている。
このキャブレターを取り付けるため、インレット・スタッドのセットアップは、900SSより狭く(52mm)されている。
また、860GTS同様、ラフランコーニ製マフラー及び2重構造のエキゾースト・ヘッダー・パイプが採用されていた。
・電装等
この年式の900SDはキック・スタート・メカニズムを持っていたが、エレクトリック・スタートが標準である。
レギュレーターは、ボッシュ製イグニッション・ユニットとともにタンク前方下にマウントされ、新しい200Wオルタネーターとステーターが採用されている。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM860SS 903200付近〜904000付近 DM900SD 950001〜950600付近 |
| エンジン形式 | DM860(D) 903200付近〜904600付近 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 813mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 780mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32AD/AS デロルトPHF32CD/CS デロルトPHM40AD/AS |
| 総製造台数 | 約900 |
79年式
・フレーム等
この年に発売開始された900MHRが「DM860SS」及び「900000」からの番号シーケンスを使用したことを受けて、79年9月以降、900SDのフレーム番号シーケンスは「DM900SD 950001〜」に変更された。
「DM900SD」のフレーム形式は、900SSDに指定されていたので、これらのフレームのホモロゲーション番号は、900SSD同様に「DGM 19139 OM」となった。
フレーム番号「902960」から、900SSDと同じくリア・サスペンションが変更されている。
これはブラックのスプリングを持ち、全長が330mmと長くなったものである。
ショック・アブソーバーには約28psiの窒素充填を必要としていたが、ゲージでチェックしようとすると全てのガスが抜けてしまうので、充填は不可能であった。
機能的には以前のものと替わらなかったが、以前より少し長いサスペンションは最低地上高を高め、ステアリング・レスポンスを僅かに早めた。
このサスペンションにより、シート高が813mmに増加するとともに、センター・スタンドの長さが260mmから275mmとなった。
パイオリ製の燃料タップはグレイのプラスチック製のものになり、下部にあったフィルター・カップが装備されていなかった。
・エンジン等
エンジン番号「903026」から、シリンダー・ヘッドは900SSと同じものとなった。
前年式までのシリンダー・ヘッドとの違いは、インレット・スタッドの幅が広くなっている(58mm)ことであり、このため900SS用のインレットを使用することができる。
これにより、デロルト製40mmキャブレターをボルト・オンで取り付けることができ、コンチ製マフラーと組み合わせることで、十分な能力を発揮することができた。
78年に英国の輸入業者が、52mmシリンダー・ヘッド・スタッドのダーマに、40mmキャブレターとコンチ製マフラーを装着して900ダーマ・スポーツとして販売したが、性能的には満足できるものではなかったようである。
幅の広いスタッドを持つ新しいシリンダー・ヘッドは、79年初期に発売開始された900SSDにも採用されている。
インレット・スタッドは広くなったが、マフラーはラフランコーニ製からサイレンチウム製に変更(ホモロゲーション番号は「E3 9R−35869」)されたのみであり、79年4月の米国の規制を受けて、デロルト製PHF32CD/CSキャブレターが装着されている。
このキャブレターは、干渉防止のエア・ミクスチャー・スクリューに加えて、以前と異なるジェッティング及びスライド・バルブを
持っていた。
エンジン番号「903726」以降、キック・スタート・アセンブリは取り外され、オルタネーター・カバーの穴にプラグがはめ込まれた(新しいクランク・ケースである)。
それ以前、ニュートラル・インジケータ及びキック・スタート・シャフトのために新しいオイル・シールが採用されている。
キック・スタート・シャフトの新しいシールは、79年以降、900SS及び900MHRを含む全てのキック・スタート・エンジンに採用された。
79年9月以降、900SDと900SSDのフレーム番号シーケンスは共有されたが、エンジン番号シーケンスには変更がない。
・電装等
新しいキャブレターの採用に併せて、プラグはボッシュ製のW7bが標準に指定されたほか、前年式から変更はない。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM900SD 950600付近〜951700付近 |
| エンジン形式 | DM860(D) 904600付近〜905700付近 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 813mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 780mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32CD/CS デロルトPHM40AD/AS |
| 総製造台数 | 約800 |
80年式
・フレーム等
80年には、各種のベベル・ツイン・モデルの部品の共通化を図るため、数回の変更が行われている(これらの変更の多くは、80年版の900SDの公式パーツ・リストには記載されなかった)。
フレーム番号「951821」から、900SSDと共用化を図るため、リア・ブレーキのリンケージはボール・ジョイント、新しいシャフト及びブレーキ・ホースを含む新しいタイプとなった。
ギア・シフト・シャフトの長さが変更になったことに伴い、ステップの位置が下げられているが、900SDと900SSDのステップの位置は異なっているにも関わらず、ステップ・ラグは高い位置に設定されていた。
新しいパーツは、以前のものとは互換性がなく、以前のパーツの交換にはコンプリート・セットで行う必要がある。
この年式の900SDにはアルミ製の6本スポークFPSホイールが採用され、これに280mmの鋳鉄ソリッド・ディスク(4穴)が組み合わされている。
しかしフレーム番号「951261〜951376」の間の900SDは、900SSDに採用された穴空け加工されたアロイ・ディスク(6穴)が組み合わされていたが、フレーム番号「951376」以降、ディスクはまた以前のものに戻された。
初期のFPSホイールは、ゴールドにペイントされたスポークと、ポリッシュされたアルミ・リムを持っていたが、この時点で全体がゴールドにペイントされるようになった。
ドライブ・アセンブリが「緩む」ことに対応して、FPSホイールには2本の8mmドゥエルが取り付けられている。
プラスチック製だったオルタネーター及びクラッチ・カバー・プラグは、同時期の500SLパンタ同様、メタル製に変更された。
また、リア・マッドガードがブラックのプラスチック製になるとともに、右側サイド・カバーが変更になった。
タンク及びシートに変更はないが、900SDの燃料タップはこの年式で他のモデルと合わせて、パイオリ製のプラスチック燃料タップに変更されている。
いくつかの900SDは、リア・ブレーキ・キャリパー・サポートが、通常の3角形タイプではなく、中央に3つの穴が空けられた
ものを使用している(パーツ番号は同一)。
・エンジン等
80年1月10日から、900SS、900SD及び900SSDの間で、クランク・シャフトが統一されている。
900SSとそれ以外の違いは、コンロッドと内部潤滑システムのみである。
エレクトリック・スタートの900SDにおいて、フリーホイール・エレクトリック・スタート・ベアリングのために2mmの潤滑穴が必要であったが、これはクランク・シャフトに取り付けられたオープン・ブッシュによって開かれている。
また、コンロッドのビッグ・エンドは、900SS同様に2重にリブの立った仕様となっている。
バーチカル・シリンダー・ヘッド・カムシャフトにも変更が行われている。
カムシャフトの潤滑穴にはレデューシング・ブッシュが挿入され、新しいパーツ番号が付与されている。
このカムシャフトは、最終型の750ccバルブ・スプリングから、レーシング用にアップグレードされたデスモドローミック・タイプまで取り付けることができるが、これらのカムシャフトにレデューシング・ブッシュが取り付けられていない場合、エンジンに深刻なダメージを与える。
エンジン番号「904414」から、短いシフト・シャフト(149mmから134mm)に対応し、短いシフト・レバーが採用され、これに伴いクラッチ・カバーも変更されている。
・電装等
最初の変更は、新しいイグニッション・ピックアップとトランスデューサー・ターミナル・ブロックの採用である。
これらは500SLパンタに採用されたものであり、80年末(エンジン番号「905168」)から900SDに採用されている。
また、500SLパンタに採用されていた200Wオルタネーターが、900SDにも採用された。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM900SD 951700付近〜952300付近 |
| エンジン形式 | DM860(D) 905700付近〜906400付近 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 813mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 780mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32CD/CS デロルトPHM40AD/AS |
| 総製造台数 | 643 |
81年式
・フレーム等
81年にも900SDには小変更が継続して行われている。
900SSDの製造は中止され、この年式ではブラック/ゴールドのカラーのみが製造されている。
最も重要なフレーム変更の一つが、81年5月(フレーム番号「952251」)に行われている。
エキセントリック・アジャスターによる調整は、変更量が少なく、またスイングアーム・ピボット及びカウンター・シャフト・スプロケットの位置関係に影響を及ぼしたため、860GTタイプのスイングアームは、900SSに採用されたシーりー・タイプのアクスル・アジャスターの付いたスイングアームに変更されるとともに、全てのプレート及びアジャスターは、900SSと共用化されている。
新しいスイングアームは、以前の900SDのものとボルトオンで交換できた(900SSは不可)が、新しいリア・ホイール、アクスル及びスペーサーを必要とした。
新しいスイングアームの採用に伴い、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートの形状が少し変更されたが、取り付け位置及び番号に変更はない。
900SS及び900MHRに合わせて、マルゾッキ製フォークのフォーク・レグはブラックにペイントされるとともに、4本ボルトで固定されるフロント・マッドガードが取り付けられた。
これらは左側フォーク・レグにイエローの「Marzocchi」デカールが貼られ、フォーク・チューブ・トップのリテーニング・スプリング・プラグが、以前の取り外しに12mmアレン・レンチを必要としたものから、30mmのヘキサゴン・スパナを必要とするものに変更されている。
また、シルバーにペイントされたリザーバーを持つ、新しいマルゾッキ製リア・サスペンションが採用されたが、スプリングはブラックのままである。
マルゾッキ製リア・サスペンションの代わりに、パイオリ製のリア・サスペンションも準備されていたが、900SDの標準部品として採用されることは少なかった。
同じ時期、ブレーキ・キャリパー及びメタル製のブレーキ・コネクションも共用化されている。
フロントのブレンボ製08キャリパー及びメタル製ブレーキ・パイプは、他の900ccモデル(900SS及び900MHR)と同じものとなり、リア・ブレーキ・キャリパーも、同様に変更されている。
キャリパーは外観的には同じに見えるが、新しいキャリパー・ピストン、ブレーキ・パッド、シングル・ブリード・スクリュー及び新しいパッド・カバーが使用されている。
その他については、前年式と同様であるが、タンク・キャップが鍵のかかる仕様となった。
・エンジン等
エンジン番号「905553」から、新しいスチール製クラッチ・ドラムと、それに対応するクラッチ・スプリング及び長いアレン・ファスナー(M5×16mm)が採用されるとともに、新しいバルブ・ガイド・シールが採用されている。
初期型の900SDでは、シングル・インナーのOリングでバルブ・ステム及びガイドをシールしていたが、新しいOリングは「通常の」シールである。
バルブ・ガイドには両方のタイプのシールを使用することができ、パーツ番号も同一である。
ただし、初期型エンジンに新しいバルブ・ガイド・シールを使用する場合、クリアランスを確保するためにクロージング・ロッカーを少し変更する必要がある。
重要なエンジン変更が、81年11月に行われている。
エンジン番号「906306」以降、6ドッグ・ギア・ボックスは、3ドッグ・タイプに変更された。
この変更は900SDだけでなく、全ての860ccエンジンに行われている。
新しいギア・ボックスのプライマリ・ギアは対応したセットとなり、以前のクラッチ・ハウジングとプライマリ・ギアは、単一ユニットとしてのみ供給されるようになった。
・電装等
エンジン番号「906029」から、個々のピックアップ・ギャップを調整するため、イグニッション・ピックアップの取り付けが変更され、これに伴いクラッチ・カバーも変更されている。
イグニッション・ピックアップの変更は、新しいトランスデューサー・プレート、スピンドル及び2枚の新しいプレートにピックアップを取り付けるための4本のM5×14mmスクリューが採用されたことである。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM900SD 952300付近〜952700付近 |
| エンジン形式 | DM860(D) 906400付近〜906800付近 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.3:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 813mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 780mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/38 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32CD/CS デロルトPHM40AD/AS |
| 総製造台数 | 計317 |
82年〜84年式
・フレーム等
81年末のミラノ及びボローニャ・ショウにおいて、小変更を受けた900SDが展示され、1台にはハーフ・カウル、ラック及び
パニア・ケースが装着されていたが、市販はされなかった。
82年式900SDには、ライト・ブルー又はライト・バーガンディに、細いストライプが入れられた新しいカラーが追加されている。
また、伝統的なブラック/ゴールドのカラーも併売された。
この年式の900SDは、全てブラックのマルゾッキ製フロント・フォークと、後期型のマルゾッキ製リア・サスペンションを持っている。
900SDには、穴空け加工のある6穴の280mmディスクを持つ、FPS製6本スポーク・ホイールが装着されたが、いくつかの900SDのディスクは4本仕様であった。
900SDの最後の変更は、82年10月に行われ、ギアボックス・ドラムの固定スクリューが緩む問題が対処された。
900SDの製造は、82年末で終了したが、83年及び84年まで販売は続けられた。
これらの最終型900SDは、ドゥカティ社のバイクの中でも、最も矛盾した仕様となっている。
84年式900SDのいくつかは、明らかに工場で余剰となっていた古い部品を使用して組み立てられており、例えば84年式のある1台は、「84年10月製造」であったが、79年式900SDのエンジン番号を持つ後期型の900MHRのエンジンであり、フレーム及びリア・サスペンションも79年式と同じであったが、ホイールが84年のオスカム製ホイールであった例もある。
77年から84年までの製造期間は、全てのドゥカティの中で最も長いものの一つである。
この時期、ドゥカティ社は問題を抱えていたため、期待したほどの製造数ではなかった。
900SD(及びSSD)の総製造台数は6692台であり、750GT及び750Sの製造台数とほぼ同じであるが、750ccモデルの製造期間が4年間だったのに対し、900SDは7年間であった。
900SDと750GTの間には、製造終了に近づくにつれ、公式のマニュアル等に記載されない矛盾が多くなるという類似性があったが、この傾向は900SDの方が顕著である。
・エンジン等
82年1月(エンジン番号「906479」)以降、全ての900ccモデルのバルブ・シートは、ブロンズ製から鋳鉄製に変更された(パーツ番号は同じ)。
・電装等
前年式に同じ。
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