78〜84年式
78年末、ドゥカティのラインナップは非常に少ない状況であった。
パラレル・ツインは失敗して製造が中止され、その代わりとなる500パンタが開発中であったが80年に入るまで製造されず、Vツイン・モデルは、成功を収めていた900SSと、より一般向けの900SDのみであった。
これらのモデルの販売状況は良好であり、ドゥカティ社ではモデル・レンジを拡大するため、この2つのモデルを融合させた「ハイブリッド・モデル」の製造を計画した。
78年11月のボローニャ・ショウにおいて初公開された900SSD「ダーマ」は、エレクトリック・スタートのスーパー・スポーツを意図したものであったが、本質的には、900SDのエンジン、フレーム及び走行器材類に、900SS風のハーフ・カウル及びレーサー的なライディング・ポジションを持たせたものであった。
スタイルは非常にスーパー・スポーツ的であったが、パーツの多くは900SSではなく、900SDと共用されている。
750GT及び750Sと同様に、900SSD及び900SDもフレーム及びエンジン番号が共有されたため、正確な製造台数を確定するのは困難である。
79〜80年にかけて、2251台のダーマ(900SD及び900SSD)が製造されており、900SSDは、およそこのうちの1/4程度であろうと推測される(ある資料によれば、900SSDの総製造台数は1054台とされている)。
この時期における他のモデルと同様に、900SSDは83〜84年にも極少数が製造されているが、スペア・パーツで組み立てられたものであり、同じ時期の900SDと同じく、仕様に矛盾が多い。
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| ・主要諸元・ |
| フレーム形式 | DM900SD 902960〜904000付近 950001〜952100付近 |
| エンジン形式 | DM860(D) 903762〜905900付近 |
| ボア×ストローク | 86×74.4mm |
| 総排気量 | 864cc |
| 圧縮比 | 9.5:1 |
| 最大出力 | 70PS/7800rpm |
| タイヤサイズ |
前輪 | 3.50H18 |
| 後輪 | 120/90V18 |
| ブレーキ |
フロント | 280mmダブルディスク |
| リア | 280mmディスク |
| ホイールベース | 1549mm |
| シート高 | 739mm |
| 全長 | 2261mm |
| 全幅 | 699mm |
| 重量 | 216kg |
| ギア比 |
一次 | 32/70 |
| 二次 | 15/36 |
| タンク容量 | 15L |
| キャブレター | デロルトPHF32AD/AS デロルトPHF32CD/CS |
| 総製造台数 | 約1054 (78年式約270、79年式約470、80年式約320、81年式以降は不明) |
78〜84年式
・フレーム等
900SSDは、900SDと「ほとんど同じ」モデルであったため、非常に早く量産に移された(プロトタイプが発表された直後の78年末には、出荷が開始されている)。
フレーム等は、本質的には900SDと同じであったが、900SSDでは異なるフレーム型式が指定されるとともに、ホモロゲーション番号も異なっている。
78年式及び79年式初期の900SDは、「DM860SS」フレームを使用していたが、全ての900SSDのフレーム形式は「DM900SD」である。
しかし、フレーム番号シーケンスは900SDと共有され、900SSDのフレーム番号は「902960」から開始されている。
フレーム形式の変更に伴い、900SSDには新しいフレーム・ホモロゲーション番号「DGM 19139 OM」が指定されている。
なお、79年末、900SDのフレーム形式が「DM900SD」に変更され、「950001」から始まる新しいフレーム番号シーケンスを使用し始めたため、79年9月以降、900SSDと900SDのフレーム番号は共有されている(フレーム・ホモロゲーション番号は「DGM 19139 OM」である)。
全ての900SSDには、275mmのセンタースタンドが取り付けられるとともに、900SSとは異なり、サイドスタンドが装着されていた。
走行器材類の大部分は900SDと共用されている。
15L容量のタンク、ダック・テイル・シート及び脱着可能なシート・パッドは、900SDと同じであるが、カラーはブルーの2トーンとなり、ファイバーグラス製のハーフ・カウルが取り付けられている(900SSに使用されたものとは異なる)。
デカールも900SSDのために新しくされ、カウルの両サイドには「DESMO」デカールが貼られるとともに、ヘッドライトの周りにはダークブルーのデカールが貼られていた。
タンク上のホワイトの「DUCATI」デカールは、900SDと同じものであるが、ダークブルーのフラッシュ・ラインを持っているとともに、ダック・テイルには78〜79年式の900SDと同じく、ホワイトの「Darmah」デカールが貼られていた。
また、サイド・カバーにはホワイトの「SD900」及び「虎の頭」のデカールが貼られている。
インストルメント・パネル及びカウルは、900SSと同様にステアリング・ヘッドのブラケットに取り付けられていた。
また、900SDと同様、7段調整のパイオリ製ステアリング・ダンパーが、右側のフロント・ダウンチューブとロア・トリプル・クランプに取り付けられていた。
ステンレス・スチール製のマッドガードは、900SDと同様である。
全ての900SSDには、900SDと同じマルゾッキ製38×600mmフロント・フォークが採用されている。
これらのフォーク・レグは、ポリッシュされたアルミ製であり、左側フォークの下部には小さいレッドの「Marzocchi」デカールが貼られていた。
900SSDのトップ・トリプル・クランプはブラックにペイントされ、ハンドルを取り付けるためのラグを除いて、900SSのものと同様である。
リア・サスペンションは、リザーバー・タンク付きのマルゾッキ製330mmであった。
900SSDには、900SSで使用されていたものとは全く異なる、新しいハンドルが採用されている。
新しいクリップ・オン・ハンドルは、最終型750Sのハンドルと同様に、前方にオフセットされていたが、ハンドルの高さがトップ・トリプル・クランプの位置まで上げられている。
前方にあるハンドルに合わせて、78〜79年式900SSDのフット・コントロールは後方に移動されている。
バック・ステップを取り付けるための小さなブラケットは、サイド・カバー下のフレームに溶接されるとともに、ステップは、78年式900SSのアルミ製ギアシフト・レバーを持つ、折り畳み式のメタル製であった。
なお、フット・ブレーキ・レバーは、900SSD専用品である。
他のモデルとは異なり、ギアシフト・ロッドは、両端ともボール・ジョイントで接続されていた。
900SDと900SSDのフレーム形式が共有されたことに合わせて、フレームにはどちらのモデルにも使用できるよう、「ステップの位置を変更するための」ブラケットが取り付けられている。
900SSDのフット・コントロールは後方に取り付けられていたので、タンデム・ステップもマフラー・マウントに取り付けられた2つのメタル製ペグを介して後方に取り付けられていた。
78〜79年式900SSDのステップ位置は後方過ぎたため、80年にはステップ位置が前下方に移動されている。
フレーム番号「950762」以降、新しいクラッチ・カバーが採用され、これによりギア・シフト・レバーはエンジン・カバーに接触せずに前下方に移動できたほか、これに合わせて短い(134mm)セレクター・シャフトが取り付けられている。
フレームは以前のステップ・マウンティング・ポイントを持っていたが、ステップは900SDと同じく、スイングアーム・ピボットの下の「ギザ状」ラグにボルト留めされたブラケットに取り付けられた。
また、位置の変更に伴い、ステップ本体、ブレーキ及びシフト・レバー並びにコントロール・ロッドも変更されている。
新しいラバー付きのスチール製折り畳み式ステップは、長いブレーキ・ロッドを必要とし、短くなったギアシフト・ロッドは、M6ナイロック・ボルトで直接スプライン・レバーに取り付けられるとともに、もう一端はボール・ジョイントとなった。
ステップの位置が前下方に移動したため、タンデム・ステップもエクストラ・ブラケットを使用する必要がなくなり、マフラー・アタッチメントの通常の位置に移動されている。
78〜79年式900SSDには、スピードライン製のマグネシウム・ホイールが装着されているが、900SD及び900SSとは異なり、ブレーキ・ディスクは6穴仕様であるとともに、3つの280mmディスクは穴開け加工が施され、アルミ製キャリアを持っている。
ブレンボ製ブレーキ・キャリパー及びマスター・シリンダーは、900SDと同じであるが、フロント・マスター・シリンダーからロア・トリプル・クランプのジャンクションに接続されているブレーキ・ホースが短かい(280mm)。
80年式ではFPS製アルミ・ホイールに変更されたが、900SD及び900SSと同様に、初期はリムがポリッシュされた仕様、後には全てがゴールドにペイントされている。
最初の900SSDの燃料タップは、クリアの燃料フィルターを持つパイオリ製のメタル・タップであったが、80年式ではプラスチック製となり、クリアの燃料フィルターは装着されていない。
900SSDの製造は、フレーム番号「952100」付近で終了している。
900SDのスイング・アームに「シーリー・タイプ」のチェーン・アジャスターが採用されたのは、これ以降であるため、全ての900SSDは、初期のスイング・アームを使用している。
・エンジン等
エレクトリック・スタート・エンジンは、900SDと同じであり、同じエンジン番号シーケンスが使用されるとともに、900SD及び900SSと同様に、いくつかの900SSDには右側クランクケースの「DM860」の上に「D」の刻印がある。
900SSDのエンジン番号は、「DM860 903762」から開始され、クランクケース及びオルタネータ・カバーに小変更を受け、初期の900SDに装着されていたキックスタート・シャフト及びレバーが廃止されている。
このため、900SSDのステップ及びペダルの配置の設計は、900SDよりも簡単になっている。
全ての900SSDのエンジンは、インレット・スタッド長が58mmの、改良されたシリンダー・ヘッドを使用するとともに、36歯のリア・ホイール・スプロケット及び15歯のエンジン・スプロケットが採用され、900SDよりもハイ・ギアとなっている。
78年式900SSDのキャブレターは、2つのエア・フィルターを持つデロルト製PHF32AD/ASであり、マフラーはラフランコーニ製であったが、79年4月には、キャブレターは僅かにジェッティングが変更されたデロルト製PHF32CD/CSとなり、マフラーもサイレンチウム製に変更された。
右側のエンジン・ボルトの間に取り付けられたサイレンサー・ホモロゲーション・プレートの番号は、ラフランコーニ製のものが「E3 9R−13716」であり、サイレンチウム製のものは「E3 9R−35869」である。
80年に入っても、900SSDは限定生産されたが、エンジンは900SDと共用である。
従って、900SS及び900SDの間のクランクシャフトの統一、バーチカル・シリンダー・ヘッド・カムシャフトの改良等、同年式の900SDに行われたエンジン改良の全てが反映されているほか、エンジン番号「904414」以降は、短いギアシフト・セレクター・シャフト及び新しいクラッチ・サイド・カバーが採用され、これに伴いギアシフトの配置が変更されている。
900SSDの製造は80年末に終了し、エンジン番号は「905900」付近に達したため、最終型の900SSDは、80年末から81年初頭に行われた変更のいくつかが反映されている。
これらの変更には、新しいイグニッション・ピックアップ、トランスデューサー、クラッチ・ドラム、バルブ・ガイド及びバルブ・ガイド・シールの採用等が含まれる。
・電装等
日本電装製のメーター、スロットル、レバー、グリップ及びスイッチ類は、全て900SDと共用である。
また、ボッシュ製180mm55/60ハロゲン・ヘッドランプ、大きなCEV製テールライト及びCEV製ターン・インジケータも、900SDと同様であるが、米国仕様の900SSDは反射板付きのターン・インジケータを持ち、テールライトのレンズも異なっていた。
900SSDと900SDが異なっているところは、ステアリング・ヘッド・ブラケットにボルト留めされたインストルメント・パネル上のプラスチック製ワーニング・ランプ・ホルダーのみであり、アッパー・フォーク・ヨーク上にハンドルを取り付ける必要がなかったため、900MHRと同様のものが取り付けられているが、形状が僅かに異なっている。
なお、ワーニング・ランプは900SDと同じである。
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