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B−43

(TYPE B-43)

「TYPE B−43」は第二次大戦末期の1945年、米陸軍の個人装備研究所によって試験的に製造された「女性飛行士用防寒ジャケット」である。 このジャケットは結局、正式装備として採用されることはなく、当然ながらスペック番号等は存在しない(ちなみに「B−43」は、当該ジャケットのプロジェクト名である)。
おそらく、B−16(女性飛行士用ジャケットで、タイプ名以外はB−17とほぼ同様である)の後継として試験されたと思われるが、B−15とB−6を足して2で割ったようなスタイルをしている。 B−16の後継であれば、使用温度帯域は「インター・ミディエイト」ではないかと思われるが、ワールド・フォト・プレスのムック本「飛行服発達史(絶版)」では「ヘビー・ゾーン」として紹介されている・・・もっとも、このジャケットを紹介している本は他には皆無に等しいので、実際のところは判らない(実物は東京御徒町の「中田戦争博物館」にある)。
特徴的なのは、ウェストが多くのシープ・スキン製ジャケットのように「切り放し」になっており、サイドにアジャスターを設けてフィットさせるようになっている点及びポケットがフライト・スーツと同様にファスナー付きの「逆スラッシュ」になっている点である。 またB−15シリーズと同様にフロント・ジッパーがオフセットされているが、「女性用」であることを示すように、オフセットの方向がB−17と同じく左側である。
実は初めて見たときからこのスタイルに惚れていたのだが(笑)、こんな「正式採用もされていないジャケット」を復刻するような奇特なメーカーはないと思っていた・・・ところが何と飛行服発達史が出た次の年(1994年)には「アビレックス」から復刻がなされていた・・・やるなぁ、アビレックス(笑)。 まぁ、一般的な評判がどうだったかは知らないが、どうやら数年で製造が打ち切られたようであり(少なくとも現行のラインナップにはない)、あまり一般受けはしなかったんだろうなぁと思う・・・まぁレプリカ・ジャケットの購買層から考えると、あまりに「マニアックすぎる」のは否めないところである。
というわけで、今後もこれを復刻するようなメーカーがあるとは思えず、そのうち「幻のジャケット(笑)」とか呼ばれるようになるんじゃないかと密かに期待しているところである。

アビレックス(AVIREX)
現在は「製造中止」ということで、入手するにはオークションか「不良在庫」のどちらかしかない(笑)・・・私は前者で購入した。 なお、本来B−43は女性用であるはずだが、アビレックス製(と言うか、他のメーカーがB−43を復刻したという話は私は寡聞にして知らない)のB−43はメンズ・サイズとなっている・・・ただし、フロント・ジッパーは左側にオフセットされたままである・・・まぁあまり気にはならない。
アウター・シェルがコットンとナイロンの混合、インナーはポリエステルとなっており、相対的に厚みのないジャケットである(実物は多分「ウール・パイル」だと思うのだが・・・)。 襟ボアは一応「100%ファー」となっているが、これまたかなり「薄目」・・・果たしてこれで本当に「ヘビー・ゾーン」に対応できるのか(笑)?実に心配であったが、冬場にバイクで着用してみると、これが思ったよりも暖かい。 サイズが私の身体に対しては少し大きいのだが、まぁデザイン的にはルーズ・フィットの方が似合いそうだし、おそらくこのことが少し防寒性に貢献しているのではないかと考える。 身体の方の防寒性はN−2とほぼ変わらないだろう・・・腕が若干冷えるが、布系ジャケットで腕の防寒性を高めると、必然的に動きが鈍くなる(言うまでもなく「綿を詰め込むと厚みが増す」ため)ので、動き易さを勘案するとしょうがないところである・・・これも総じてN−2と同様であるが、ジャケットが軽い分「B−43の勝ち(笑)」としたい。
使い勝手だが、内ポケットが一つもないのはちょっと・・・である。 この手の「使い勝手向上のためのモディファイ」はアビレックスのお家芸であるはずだが・・・どうせB−43の裏側なんて見たことがある人はあまりいないと思うので(笑)、追加してもらってもよかったのではないかと思う・・・まぁ最悪「後付」という手もあるか(笑)。
フロントの「逆スラッシュ」ポケットは、かなり容量が大きいものであるが・・・如何せん、あまり使い勝手がいいとは言えない。 内部へのアクセスはポケットのある方とは逆の手で行わなければならないが、ポケット・ファスナーの開閉は順手の方がやりやすいので、必然的に物の出し入れの際に「両手がふさがってしまう」ことになる・・・逆手でのファスナー開閉に慣れればいいのだろうが、ちょっと難しそうである・・・ついでに言うと、このポケットには「ハンド・ウォーマー」としての機能は全く期待できない(順手では手が入らない)。
まぁ頻繁に物を出し入れすることのない状況であれば、防寒ジャケットとして活躍できるのではないかと思う・・・それ以外にも、ほとんど見かけないので、人と違ったジャケットを求める人には最適である・・・何よりスタイルが実にいいし(笑)。

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